『脳内ポイズンベリー』
2巻まで読了。
- 作者: 水城せとな
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/05/19
- メディア: コミック
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携帯小説家の30歳の主人公が、年下の男子との恋愛にあーだこーだ悩む姿を、実際に「脳内会議」という型で描くという物語。脳内会議のビジュアル化自体は、よくある天使と悪魔の囁きみたいなものから、「脳内会議」をコミカルな演出として描いているものもある。でも、それをストーリーに組み込んだのは新しい。
主人公の一歩踏み出すのを躊躇う感じを、脳内の性別もキャラクターも違う人たちが、あーだこーだ議論を重ねる場面が抜群に面白い。このキャラクターが全然違うという大胆な試みは成功していて、些細なことをきっかけにうじうじ悩む姿の理由付けにもなっているし、行動に踏み出せない主人公のパーソナリティに説得力を持たせている。
感じとしては、テレビドラマを見ていて感想を口々に言うような楽しさがあって、しかも、それで主人公の行動が変わるという面白さもある。この「脳内会議」の描写がないと、主人公は単に面倒くさい女でしかないし、話自体もよくあるものなわけで、ベタな話を面白くする工夫が効いていると思った。
ちょっとどうかなーと思うのは、主人公の職業が携帯小説家という部分。これ、「携帯」小説家にする意味ってあるのかなぁと疑問だった。でも、くだらないことで悩む姿が携帯小説家にぴったりということなのかも。書籍化されて、書店で平積みされている携帯小説家って今のご時世では超一線級の人だと思う。
あと、東京のああいう仕事をしている人たちの文化に馴染みがないので、飲み込みづらいというところくらい。恋愛漫画の新しい可能性を見させてもらったと思う。