『昆虫食入門』

今月出た新書の中では一番の異色作かもしれない。


入門、と銘打ってはいても、実際は「食材として認識されている」昆虫はもとより、海外の昆虫食事情や、文化の中での昆虫食まで余すことなく語られている。僕が住んでいるところには昆虫を食べるという習慣はないので、巻頭の昆虫料理の写真は衝撃的だった。昆虫寿司とか、昆虫ピザとか、なんだか罰当たりっぽい料理がたくさんある。


昔はイナゴ取りが秋の風物詩になっていて、手軽なレジャーとして認識されていたという記述にビックリ。それが戦後のGHQによる殺虫剤散布でイナゴが激減し、最近はまた増えてきたので昆虫食の伝統が途絶えなかったというのは、日本人には虫を美味しく食べるという習慣が確かにある証左なのだろうなぁと思った。


虫の味まで書いてくれるところもありがたい。アブラゼミってナッツの味がするのかと、一生経験することのなさそうな知識を蓄えることもできるのが、この本の良いところか。