『Mr.&Mrs.スミス』

テレビで鑑賞。



【ストーリー】
殺し屋の夫婦が、互いに正体がばれたので殺し合う。
第一幕:オープニング〜お互いの正体がバレるまで
第二幕:殺し合いのあとのセックスまで
第三幕:〜ラスト


【見所】
頭の悪い作品なので、頭を悪くして観ればいいやん、という感じ。やっていることは夫婦喧嘩の拡大解釈なんだけれど、元々が夫婦喧嘩なので思ったよりも広がりがないというか……でも、ブラピもアンジーもノリノリで良かったと思う。個人的な見所は、アンジーの組織の人間関係の百合っぽさ。


【感想】
この映画ってもったいないな〜と思うのは、「地球上最高のオス」のブラピと、「地球上最高のメス」のアンジーが、対比としてはあまりうまく描かれていないところにあると思う。アンジー側は百合っぽいガールズたちの殺し屋組織、というアホな設定を上手く表現できていると思うんだけれど、ブラピのほうの組織はちょっとどうかと思った。


こういう映画って、過去の名作映画を背負った大スターが二人出ているのだから、ことごとく両者のキャリアに準じたところを出さないと、もったいないと思うんだよねぇ。アンジーはその意味で、これまでのキャリアに沿った役柄と設定が与えられていると思う。組織の他の女性に対する「お姉様」なところとか、ボンデージを着て殺しをするとか、僕らが観たいアンジーを演じていた。


問題はブラピのほうで、劇中の彼はもっとタイラー・ダーデン的な野性味あふれるキャラであるのに、本人はそれを理解していたようだけれど、監督はもっとスマートな役柄を期待して、結果似合わないものになっていたと思う。この物語のキモは「対象的な夫婦が実は同じ仕事をしていて、お互いを殺し合うはめになる」というところにあるのだから、対象さの描写をもっと徹底しておくべきだったのでは?


特に、ブラピの表の顔が不満だった。建設設計の会社とかではなくて、バーの地下で半裸の男たちが殴り合っているような組織にすればよかったのに……表の顔は「うだつのあがらない夫」なのだから、もっとボンクラ職業に就いていたほうが面白いと思うんだよねぇ。アンジーが洗練された方法で窮地を脱する一方、ブラピはボンクラパワーで窮地を脱するとか。



ストーリーについては、これはこういうものだから、という感じで観た。ツッコミを入れればキリがない話を、そこそこ上手くまとめているのではないか。ブラピとアンジーの殴り合いが、けっこう勝負になっていたのも良かったし、野獣のような二人が殴り合った結果、ビンビンになってセックスをする……ってリアルでもそうなっていたし。なんてことを考えると、より楽しめると思う。