『スナッチ』

先日、『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』を観たので、『スナッチ』も鑑賞。


スナッチ [Blu-ray]

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【ストーリー】
ロンドンにやってきたダイアモンドをみんなで奪い合う。

【見所】
『ロック・ストック〜』で注目されたガイ・リッチーの元に、豪華キャストが集結。ガイ・リッチーの映像センスと語り口は本当に面白くて、前作での勢いをそのまま豪華版にして放った作品なので、『ロック・ストック〜』と二本立てで見るのが正解かもしれない。ブラッド・ピットのタイラーっぽさや、キャラクターのおかしみとエグみのある描写も面白い。

【感想】
ガイ・リッチーって、男友達でキャッキャ騒ぐのが大好きな監督なんだろう。『ロック・ストック〜』も『スナッチ』も女の要素がほとんどない。ガイ・リッチーの復活作になった『シャーロック・ホームズ』もだいたい女は蔑ろにされていて、そういう作品ほど面白かったりする。


この作品が『ロック・ストック〜』の余韻で見るべき映画だと思うのは、物語に核となるものがないからだ。一応、「ダイヤを奪い合う」という本筋はあるものの、ジェイソン・ステイサム演じるターキッシュは最後にしかダイヤに絡まない。ブラッド・ピットのパイキーたちは最後まで関わらないし。結果、ターキッシュたちによる地下ボクシングのエピソードと、ダイヤモンドの争奪戦が平行線のまま、たまに交差するという、なんともとっ散らかった話になっている。


なので、物語的には映像センスと豪華キャストと『ロック・ストック〜』から引き続き登場している曲者顔の面々で、観客の興味を持続させて、それはそれで面白いものになっているのだけれど、完成度は前作と比較するまでもない。個人的にはこういう映画を観ると小説で真似してみたい!という気になるけれど、これを真似すると確実に失敗すると思った。


でも、個人的には嫌いになれない映画なんだよなぁ。映像センスは本当に素晴らしい。オープニングの流れとか、宝石商がロンドンに行ったり来たりをするところとか、レプリカとデザートイーグルの違いとか。ノミ屋を襲撃するときのシークエンスとか「あ、こういうの前作でもあったあったw」という面白さもあるし。しかも笑えるギャグは前作よりも洗練されている。ロシア人の武器商人は出てきただけで笑える。


ヴィニー・ジョーンズは本当に「車のドアで人間の頭をボコボコにする」役がよく似合う。ジェイソン・ステイサムは主人公なのに強烈な面々に囲まれていて、魅力が活かせていない。物語の主人公はこうあるべきだと思うけれども、残念なことに本筋にはほとんど絡まないから、物語の中でキャラ作りすることができていないんだなぁ。ブラッド・ピットは物語におけるジョーカー役をキッチリこなしていた。


というわけで、僕は『ロック・ストック〜』の余韻で観るには最高だと思う。『ロック・ストック〜』を観ないでこの映画を鑑賞しても、目まぐるしく変わるシーンの連続に白旗を掲げるはず。