『超ヤバい経済学』

超ヤバい経済学

超ヤバい経済学

日本では荻上チキがやってるようなことを、アメリカではスティーヴン・D・レヴィットという人がやっていた。レヴィットは『売春』や『裏社会』や『相撲』まで、経済学がこれまで採り上げなかったフィールドを経済学に採り上げることで名を馳せた人で、僕なんかは経済学界のアナール派じゃないかなと思ったりする。
で、二冊目の『超ヤバい経済学』では、売春婦の経済学から地球温暖化の解決方法までが語られる。ポイントは『誘因』という概念と、「解決策は予想しなかったところからくる」という点と、「皆が思う解決策では解決しない」という点。これは地震以降の電力不足にも当て嵌まることじゃないかなと思う。例えば誰もが節電を呼び掛けるが、節電では電力不足という問題は解決しないだろう。節電は問題の軽減と先送りにはなるけれども、根本的な「不足」を補うものではないからだ。で、「解決策は予想しなかったところからくる」というのは「どういうところ」かというと、主に技術方面からだったりする。
日本は科学技術立国を指向してはいるけれども、実際は「科学技術」に対する穿った見方が少なくない。科学技術が世の中を変えるという点に否定的な立場を取る人は、インターネットに反発的な感情を抱いている人が多いことからも見て取れる。でも、車が出来て世の中が大きく変わったように、科学技術が世の中を変えることは今までも良くあった。そういうことを真摯に受け止めないと、日本は「理念」という点で世界に大きく立ち後れてしまうんじゃないかなぁと思う。