小説批評『ヒトモドキ』

雑誌『Sroey Seller』の2号に収録。作者は有川浩。小説を読まない僕なので有川浩と言われてもピンと来ませんでしたが、『図書館戦争』を書いた人という説明で小説を読まない僕でも「ああ、あの!」と膝を打つ。まあ、『図書館戦争』も読んだことがないのですが、アニメ化されていたような……。
久々に小説らしい小説を読んだ! という感じです。昔は浴びるように小説を読んでいた時期があったのですが、今は年に2冊くらいがいいところのような。小説を書く情熱が薄くなっているのも、何か関係があるのかもしれません。仕事が忙しくて大変だとか、そういう言い訳をしているうちに、小説力が弱まってしまいました。
というわけで『ヒトモドキ』の批評なんですが、やはりプロの小説というのは安定感があって面白いです。平和な一家にサイコパスな親戚が引っ越してきて……というのが内容で、引っ越しオバサン(的なもの)とかゴミ屋敷とかの現在的なテーマが織り込まれていて、読んでてとてもスリリングでした。終わり方をどうするのだろうと思ったのですが、超自然的なものを出さずに(展開から出るかもと思いました)、心の傷にどう折り合いをつけるのかという終わらせ方が良かったなぁと。丁寧に時系列を追って、どうにもならない怪物と絶望的な戦いを強いられる、という内容を正面から書き上げたというのがプロの仕事を感じさせます。