特別編

マンガナツ100という企画があったそうで、『酔拳の王 だんげの方』で集計結果が出ていた。知っている漫画も知らない漫画も数多いのですが、日本で漫画というソフトがいかに充実しているかの表れだと思った。というわけで、唐突に『一人マンガナツ10』を紹介。本家のほうは色々と制約があった(完結作品中心とか)けれども、僕は制約なしで。
順位に大した意味はありません。

僕の家のすぐそばには貸し本屋があって、子供の頃はそこでジャンプを借りたり、単行本を借りたりしていた。『ドラゴンボール』は相当に思い入れのある作品で、1巻2巻あたりの時に「これは絶対面白いから」と言って、強引に購入させたことがある。というわけで、1巻〜5巻あたりの展開が好き。亀の甲羅を背負う修行とか、本気で真似してみようと考えていた時期があったし、かめはめ波の練習もした。

ドラゴンボール 完全版 (1)   ジャンプコミックス

ドラゴンボール 完全版 (1) ジャンプコミックス

超面白い歴史マンガ。この作品があるから、日本人は中国人よりも三国志に精通している(と僕は思う)。2世紀末〜3世紀初頭の中国に仏教寺院があるわけねーだろ! という突っ込みは置いといて、官渡の戦いはどうなったのよ! という突っ込みも置いといて、ひたすら蜀漢正統の史観に立った話が進む。『三国志演義』をベースにしているから仕方ないんだよね〜と今になって解るのだけれども、読んでいたときは面白すぎて気にならなかった。でも、最大の欠点は関羽が死んでしまうと辺りで、続きを読もうというテンションが落ちてしまうところ。その頃(小学生の頃)は蜀が天下統一すると信じて疑わなかったので、関羽が麦城に追い詰められたところは、もう涙なくして読めなかった。もちろん、その後も見所は続くけれども。個人的には黄忠の死に様が泣ける。いつの間にかいなくなる人が多いのは不満。

三国志 1 (潮漫画文庫)

三国志 1 (潮漫画文庫)

最近読んでみて面白さに驚いた。ネタにされることの多いゴルゴ13だが、面白さと、食わず嫌い度は超一級。究極のエコノミックアニマルであるデューク東郷の、神をも超える暗殺術は戦慄の一言。初期のゴルゴはお喋りで、フランス警察に包囲されて動揺するような可愛いところもあったが、最近は死神に近い存在になってしまった。世界情勢や革新技術をたくみに織り交ぜたストーリー展開は、短編小説の手本にもなると思う。個人的に好きなエピソードは、氷山をエジプトに輸送する計画をゴルゴが挫く話(←マイナーだけれど)。正義も悪もないが、ルールはあるゴルゴのポリシーに男心が刺激される。紹介した巻には、名作の誉れ高い『バイオニックソルジャー』が収録されている。

七尾こずえが好きでした。なんで五代は彼女を振ったのか?? おかげで最終巻はろくに読んでいません。「もてない男が急にもてる」系の漫画として、必要なものが全て揃っている。恋の何角関係かを、一つ一つ潰していく終盤は、あまり好きではないんだよ〜と声を大にして叫びたい(一巻)。二階から落ちた辺りがやっぱり一番面白かったよね。

めぞん一刻 (1) (小学館文庫)

めぞん一刻 (1) (小学館文庫)

SF漫画としても、SFアニメとしても金字塔を打ち立てた作品だけれども、この内容がちゃんと完結したというところに大友克洋の非凡さが伺える。脇役キャラも疎かにしない展開は、後の浦沢直樹の諸作品に受け継がれていると思う。一巻二巻も好きだけれど、ネオ東京が崩壊して鉄雄の王国になったあとの展開も面白い。(映画では強烈なだけだった)新興宗教の老婆がエスパーだったというのは、ちょっと驚いたけれども、大佐とSOLが最期まで活躍しているのにはもっと驚いた。最期のバイクのシーンは感動的。

AKIRA(1) (KCデラックス)

AKIRA(1) (KCデラックス)

傑作。中学生のときに親戚の家にあって、大熱中した記憶がある。これで世界情勢を知ったりと大変勉強になった。「この漫画を読んでいたので、砂漠で遭難しても助かりました」みたいな妄想をするほど。でも、SASの技術がないと、砂漠で小動物を罠にかけたり、水を得たりなんてことは出来ないよね〜と思った。知的好奇心を満足させる漫画としては指折りの作品だと思う。四大文明は現在の歴史学の本流ではないとか、銃身が曲がっても銃は撃てるとか、爆弾を止めるのにチョコレートを使用するとか。考古学の夢と現実みたいなものも、ちゃんと描写されている。

MASTERキートン (1) (ビッグコミックス)

MASTERキートン (1) (ビッグコミックス)

漫画表現的に言えば、現在のところ『ネギま!』を超えるクオリティをもった作品はない。しかも、それを感じさせないので、はるか後になって「あれはエポックメイキングだった」と語られるようになるに違いないと思う。僕が注目するのは「無茶な設定を押し通す方法」と「読者を作品に結びつける物語構造」の二つ。赤松健を頂点にした集団創作体制がどうなっているのかも興味があるけれど、クリエイティブに欠かすことの出来ない『魅力』についての、重要なヒントが散りばめられた作品であることにこそ着目したい。

魔法先生ネギま!(1) (講談社コミックス)

魔法先生ネギま!(1) (講談社コミックス)

僕の漫画体験は『キン肉マン』に始まった。第二回超人オリンピックから悪魔超人との抗争までが、『キン肉マン』の中で最も熱かった時期だと思う。ビックリマンシールは集めなかったが、キン肉マン消しゴムは集めたほど。今では夢から醒めたように読めてしまうのは残念だけれども、子供を夢中にさせる魔力があった漫画だと断言できる。好きな超人はブロッケンJr。弱くても必殺技が微妙でも、なんだかんだ言って生き残る(勝つ)ところが好きだった。髑髏徽章を取ると人間になるという後付設定も好き。

キン肉マン 1 (集英社文庫(コミック版))

キン肉マン 1 (集英社文庫(コミック版))

宮崎駿はアニメーターであって漫画家ではないのだけれども、乾坤一擲の世界観が漫画もアニメも変えてしまった。本の最初のところに腐海の植物の設定とかが事細かに書かれていて、今考えてみればこれで設定の考え方のかなりを学んだと思う。エコ的な視点でばかり語られるけれども、中央(トルメキア)vs辺境(風の谷や土鬼など)にも、かなり深い物語性がある。ジブリは『ゲド戦記』で失った信頼をどう取り戻すかと考えたとき、これはもう『風の谷のナウシカ』をテレビアニメ化するしかないんではないか。

風の谷のナウシカ 1 (アニメージュコミックスワイド判)

風の谷のナウシカ 1 (アニメージュコミックスワイド判)

他は変動があるかもしれないけれど、これはもう不動の1位。少年漫画界に『能力系バトル漫画』一大潮流を作り上げた功績と、台詞回しやファッションなどの卓越したセンス、小説や漫画を問わず及ぼした影響、カルトを超えるカルト人気など、総合的に考えても超一級の作品。雑誌やテレビなどの漫画特集では、まず取り上げられないなど一般的には不当に低い評価なのもポイントが高い。好きな部は2部〜3部。好きなキャラクターはスピードワゴンプロシュート兄貴シュトロハイム、ダービー兄(登場人物は全員好き)。欲しいスタンドはハーベストかエニグマ。好きな必殺技は「ロードローラーだっ!!」。荒木飛呂彦の素晴らしさはハッタリの上手さにあると思う。荒木飛呂彦の書いた漫画論の本があれば絶対買う。

JOJO A-GO!GO! (愛蔵版コミックス)

JOJO A-GO!GO! (愛蔵版コミックス)

ベスト10でもう限界。他にも取り上げたい作品は沢山有るけれど、今日はこのくらいでご勘弁。