『レジェンド・オブ・ウォーリアー 反逆の勇者』

スカパーで鑑賞。



【ストーリー】
9世紀の北米で、沿岸の村々を荒らし回っていたヴァイキングと、彼らの血を引きながら先住民として生きる青年の戦いを描く。


【見所】
コンセプト!
ヴァイキングとインディアンが戦う」ってだけで燃える。
でも、実際の出来はと言うと……


【感想】
50点!


映画秘宝だったかで、アメリカ先住民とヴァイキングが戦う映画があると知って、「うぉー! 観てみたい!」と思っていた映画。スカパーのいいところは、こういうのを思いがけず出会うところにあるよねと。そういうわけで、この作品はレイフ・エリクソン北米大陸発見についての伝説『赤毛のエイリクールのサガ』を元にした映画。元々は、ノルウェーの映画があって、それのハリウッド版リメイクらしい。監督はホラー映画のリメイクを撮らせたらこの人! という感じのマーカス・ニスペル


マーカス・ニスペル監督作品といえば『テキサス・チェーンソー』や『13日の金曜日』(両方ともリメイクね)なんだけれど、この人の映画を観るのは今回がはじめてだった。僕は好んでゴア描写を楽しむほうではないので、ニスペル監督の代表作はたぶん今後も観ないと思う。今作でも首チョンパ祭りだったり、目玉を切り裂かれたり、頭蓋骨が割られて脳みそが剥き出しになったりと、血みどろの描写がかなり多い。でも、それがグロいかというとそうでもなくて、激しい乱戦や暴力描写の中にちょろっと差し挟まれる感じ。この辺りは、監督の職人芸を観たような気がする。


物語は、ハッキリ言えばコンセプトアートが全てと言った感じ。半裸のアメリカ先住民と、『スカイリム』に出てくるような完全武装ヴァイキングが戦うという絵だけで、好きな人は本当に好きだろうし、ダメな人は本当にダメだと思う。僕は当然前者なので、話の単調さや、中盤以降主人公が西洋人化してしまうことの残念さを押し隠して最後まで観ることができた。日本では劇場未公開の作品ではあるものの、決してB級というわけでもなく、史劇としてのルックもかなり頑張って作り上げている。特に、凶悪なヴァイキング軍団! お前らは指輪物語に出てきたナズグルか! ってくらい禍々しい鎧姿になっていて、これに襲われたら平和な先住民の村はひとたまりもないよね、と思った。


物語は起伏に富んでいるように見えて、中盤以降はイマイチ盛り上がらずに終わってしまう感じ。この原因って、たぶん敵味方両方とも、キャラの書き分けが出来ていないからだと思うんだよね。ヴァイキング軍団は全員髭ズラだし、先住民もキャラ付けがぞんざいすぎる。主人公はヴァイキングの血を引いているが、孤児として先住民に拾われた男なんだけれども、白人酋長ものとしては中盤以降ヴァイキングの服装を着てしまうので、異文化対決の面白みが削がれてしまっている。そして、この話の致命的なところは、敵味方両方とも頭が悪いというところ。特に、中盤の森で、仲間の戦士たちが落とし穴に落ちてしまうのは何の冗談かと思った。


ただ、盛り上がらない分、物語はそつなく終わっているので、後味はそんなに悪くない。スカパーで観る分には悪くないのかも。