『ハンコック』

テレビで鑑賞。



【ストーリー】
無敵の力を持つ男が、生き方を変える。
起:オープニング〜レイがハンコックに名刺を渡す
承:ハンコックが刑務所に入る〜銀行強盗事件を解決する
転:レイの妻が正体を現す〜ハンコックが撃たれる
結:病院でのバトル〜ラスト
すごい! 誰でも分かる起承転結!


【見所】
レイの声の酷さ!
まさに誰得。


【感想】
なんというか、見る前はウィル・スミスの俺様映画だろうな〜と思っていたら、その通りだったのだけれど面白かった。


監督はピーター・バーグ。この人の監督作といえば『バトルシップ』で、僕のイメージではバカ映画を楽しく見せる手腕に優れた人というもの。でも、大作大バカ映画の旗手なんだけれど、ストーリーの規模を終盤にかけて小さくしていく傾向にあるようで、『ハンコック』の場合も物語が小さくなっていく。つまり、スケールのでかい話が、病院内での殺し合いに収まるという、これを是とするか非とするかは見る人それぞれかなぁ。


でも、なんだかんだ言って物語を手堅くまとめる手腕はある。『ハンコック』でも発揮されていて、特にストーリー展開が綺麗な起承転結でおさめられているのは勉強になった。というか、「転」がこんなにハッキリ「転だ!」と分かる映画は珍しいと思う。


ストーリーは「スーパーヒーローが本当にいたら?」というネタの、一番頭が悪い部類のものだと思うけれども、こんなネタはこれくらいが丁度いいという開き直りは正しい。誰もが『ウォッチメン』や『アンブレイカブル』のような作品は作れないからねぇ。射精すると精液が天井を突き破るって、スーパーマンロイス・レーンがセックスしたら?の有名な考察のビジュアル化だよね。


映画的には満足度の高いものだったけれども、テレビで鑑賞していて「これはどうかな〜」と思ったのは、EXILEの人が声優をしたレイの声!本当に、プロの声優だらけの映画に一人だけ素人が混じっているので、平凡な一市民という位置付けのレイが浮き上がって見えてしまった。こういう映画にレイのような役柄のキャラを登場させるのは、最初は観客が感情移入できないハンコックという主人公に、温情のある視点を提供するためのものであるのに、レイに感情移入ができないよ! という困った事態を招いている。


というか、映画にもEXILEの人的にも得るものがないね。まさに誰得。


でも、レイの声が間抜けすぎるために、彼のプレゼンテーションのバカっぽさが、本当にバカっぽく観えたのはプラス点かなぁ。あの間抜け声で「オールハート」のプランを説明しているところだけは、「凄い!ダメさが際立ってる!」と思ったが、そのまま間抜け声で話が展開するのでテンションが落ちた。あと、オールハートがオチで使われているのは気が利いていて良かった。


まあ、字幕で観るのが一番ってことかな。