『探偵はBARにいる』

テレビで鑑賞。


探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)

探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)


【ストーリー】
札幌を舞台に、探偵が女依頼人に手玉に取られる。


【見所】
小雪の演技!
女と嘘の見本だった。


【感想】
見る前は、面白いのか面白くないのか、そういう前情報も入れずに、北海道と大泉洋のローカルな筋立てだけが期待を持たせたけれども、実際見てみると、結構面白いじゃん!と感心してしまった。映画としては『私立探偵濱マイク』みたいな感じだけれど、ストーリーは数倍しっかりしている。


無理がなく、二転三転するストーリー展開、三枚目のハードボイルド探偵としての大泉洋、そして小雪小雪がこの映画は超良かった。序盤の「美人」、中盤の「悪女」、ラストの「聖女」と、この映画って小雪の演じる沙織の変貌によってストーリーが展開していくのよね。しかも、どれが沙織の本当の顔なのか、小樽の手紙があるまで本当に分からなかった。ミスリードの描き方も上手いし、中盤は本当に憎らしい。


監督は橋本一という人で、映画監督としては、シリーズものやテレビドラマの劇場版を監督することが多いみたい。テレビドラマの監督のキャリアが長いので、『探偵はBARにいる』でもテレビドラマっぽいなぁと感じる部分が散見されたけれども、語りの面白さで凡庸な演出をカバーしていると思う。脚本が相棒シリーズも手掛けたベテランの古沢良太ということも大きい。


そこは、主役の大泉洋のボーッとした風貌と、間抜けなハードボイルドなキャラクターと、高田との掛け合いが貢献している。この映画って登場人物がみんな味があって良かった。特に、怖いヤクザを演じた高嶋政伸!ちょうど離婚裁判が泥沼だった時期なのが関係しているのか、びっくりするような怪演だった。相棒の高田を演じた松田龍平も飄々としていて良かった。


ストーリーはほぼ満足できるのだけれど、中盤の、探偵がオカマバーの二人にボコボコにされるのは、後の展開を考えると「あれ、する必要なかったのでは?」と思った。というか、探偵と沙織の距離感の描き方に、終始映画は苦労しているような気がした。原作がそうなのかもしれないし、描かれていない部分もあるかと思うけれど(テレビ的に編集されているから?)


札幌という土地が醸し出す、雪の情景は、東京を舞台にした刑事ドラマにはない魅力だなぁと思う。