『HK 変態仮面』

映画館で鑑賞。



【ストーリー】
変態の両親を持つ高校生の色丞狂介が、パンティを被って変態仮面として活躍する。


【見所】
変態仮面
すごい!完全コピー!
しかも、ヒーロー映画でヒーローが見所ってなかなかないよ。


【感想】
リアルタイムで原作漫画を見ていた僕としては、スゴい!そのまんま! という一言しかない。


ジャンプ黄金時代に連載されていた『究極!!変態仮面』の映画化。小栗旬が原作好きで、企画を主導したらしいが、この大成功でプロデューサーとしての手腕の評価も高まるんじゃないかな〜と思う。最初、変態仮面が映画化されるとアナウンスされたときは、本当に「マジで?」と思ったけれども、そのビジュアルは想像以上のガチなものだった。で、劇場はほぼ満席の状態で、こんな状態で鑑賞するのも(僕の地元ではあんまりないので)ビックリ。日本におけるスーパーヒーローものとしては、伏兵もいいところだけれど、これ以上ない登場だったと思う。映画そのものも、変態仮面インパクトと、笑えそうという期待に十分応えたものになっている。


映画はオープニングがそのまんまマーベルのアメコミ映画のパロディではじまって、変態仮面のキャラクターもスパイダーマンを踏襲したものになっている。原作からしスパイダーマンを変態にしたテイストだったしね。物語は変態仮面の誕生から、学園の埋蔵金(これは取ってつけたものだけれど)を巡る戦いを描いているが、これはまあどうでもいいレベルの低さだと思う。ストーリーの水準はハッキリ言えばダメ過ぎ。


特に僕が気になったのは、ニセ変態仮面を演じた戸渡先生のバックボーンが語られていないところ。ニセ変態仮面は、変態仮面のコインの裏表になる存在だけに、それこそ冒頭部分に出てきた爆弾魔が戸渡先生だった……とか、いろいろと工夫の仕方があったのではと思う。このバックボーンが語られないというのは、心の内が語られない主人公以外のキャラの全てで、それが可笑しさに繋がっている部分もあれば、薄っぺらいものになっている原因にもなっている。


でも、変態仮面の映画は、変態仮面がどれだけ変態なのかさえ描けていればOKなわけで、このギャグと笑わせのためだけにストーリーを脇におく姿勢は、ギリギリ許容範囲だった。個人的にはストーリーとギャグは、両立させてこそだと思うけれどね。この映画は、変態仮面の肉体美、ポーズ、動きがどれだけ再現されているかがキモで、それはほぼ成功している。僕は、本当に変態仮面のケツが出てくるたびに爆笑してしまった。あれだけは、本当に反則だと思う。


変態仮面を演じた鈴木亮平は、その肉体美とモッサリしたルックスで、まさにハマり役だった。あの自問自答はもう少しでくどくなる絶妙なところで、キャラクター付けに役立っている。変態仮面の元ネタのスパイダーマンも、ピーター・パーカーは心の中でいろいろ考えるし。あと、登場人物で良かったのは、姫野愛子を演じた清水富美加!なんだか、これまでいなかったタイプの女優だと思う。それに、もちろん戸渡先生を演じた安田顕も最高だった。


で、この映画のギャグは出オチというか、ライムスター宇多丸師匠の言うところの「べろべろばー」なんだけれども、ここまでレベルの高いベロベロバーはなかなかないと思う。もし続編も作るのだったら、アジア最強のベロベロバーギャグの使い手であるチャウ・シンチーに監督をやってほしいところ。彼ならアクションもバッチリだしね。


とりあえず、満員の劇場で映画を見るという、なかなかない経験ができただけで良かった。映画の質はともかく、観るべき映画ではあると思う。学校や職場でしゃべる楽しい話題になるしね。