『ラストスタンド』

映画館で鑑賞。


【ストーリー】
メキシコに逃亡しようとする麻薬王を、国境の街の保安官たちが迎え撃つ。


【見所】
シュワルツェネッガー
老体鞭打ってもアクション俳優だなぁ。


【感想】
面白かった!


カリフォルニア州知事から、またアクション俳優に戻ったシュワルツェネッガーの、復活の狼煙になる映画……には、アメリカの興行収入的にはならなかったようだけれども、作品の出来自体は非常に良いものだと思う。シュワルツェネッガー主演のアクション映画が、まだ観ることができるという幸福。そして、『ラストスタンド』は底抜けな面白さと、僕たちが観たかったシュワルツェネッガーが詰まっている。


監督は韓国人監督キム・ジウン。『悪魔を見た』の殺人鬼と捜査官の、ルール無用のデスマッチで度肝を抜いた人で、今回の映画でも血なまぐさい描写がどんどん出てくる。でも、それがシュワルツェネッガー映画と、メキシコとアメリカの国境の街という舞台によくマッチしているんだよねぇ。韓国人監督の、信頼の暴力描写とストーリーテリングも発揮されていて、終始安心して見ていられる。


でも、ストーリーは本当にバカ!スピード狂の麻薬王が、特注仕様のスポーツカーに乗って、時速300km以上のハイスピードでメキシコを目指す。FBIも追いつけない麻薬王を逮捕するために、シュワルツェネッガー演じる国境の街の保安官が「最後の砦」になるというもの。でも、それが面白さに繋がるのは、西部劇を現代向けにアレンジしている構造にあると思う。特に『リオ・ブラボー』とか。


というわけで、頼りになるシュワルツェネッガーの周りには、頼りにならない(とは言えないけれども、戦力的にはずいぶん劣る)副保安官がいる。この副保安官がみんなキャラ立ちしていて良かった。「いかにもメキシコ人!」という感じのルイス・ガスマンとか、ジャッカス魂でシュワルツェネッガーに協力する武器マニアのジョニー・ノックスビルとか。この2人は見せ場も十分だし、印象に残る登場人物だと思う。特に、ノックスビルのシーンはどれも超笑えた。


FBIの捜査官や、極悪非道のメキシコの麻薬組織の軍団も良かった。フォレスト・ウィテカーは、頼りない黒人デブ役から、結構貫禄が出てきたなぁと思う。難点は、麻薬王を演じたエドアルド・ノリエガで、こいつとシュワルツェネッガーだと勝負にならないだろ、と思ったら、本当に勝負になってなかった。もうちょっと怪異な俳優か、それこそ『マチェーテ』のようにセガールみたいな人間に演じさせればよかったのに。


そもそも、中盤の銃撃戦が終了したあとで麻薬王がやってくるので、終盤はどうしても消化試合な感じがありありとするんだよね〜。それでも、トウモロコシ畑の、トウモロコシがボコボコ窓に当たる描写とか新しいと感じるところはあった。不満なところはまだあって、序盤の麻薬王救出のときにいた、女性の戦闘員がそれっきりなんだよね。あと、裏切り者が裏切ったこと以外は、特になんの活躍もしないというのも不満点だった。


肝心のアクションは、シュワルツェネッガーの年齢を考えても、十分に満足できる水準になっていると思う。中盤の大銃撃戦で、シュワルツェネッガーガトリングガンをぶっ放すあたりで僕は大爆笑してしまった。あと、ラストもスッキリした終わりかたで良かったと思う。満足感で言えば、『アイアンマン3』と同じくらいか、ちょっと上かもしれない。なにも考えずに、映画を楽しみたいという欲求に100%応じてくれる作品だった。