『アイアンマン』

テレビで鑑賞。観るのは二回目かな?


【ストーリー】
兵器会社の社長トニー・スタークがアイアンマンになる。


【見所】
手作りヒーローなところと、現代的で洗練されたトニー・スタークの造形。


【感想】
テロリスト組織のマークって、3のマンダリンも利用していたね。


スーパーヒーローの誕生譚としては、ほぼ最高と言えるのではないかなーと思う。天才科学者で傲慢で、大金持ちの兵器会社の社長が、自社の製品がテロリスト側で使われていることを知って、生き方を変えるというのは、英雄物語としてほぼ完璧な構造じゃないかと思う。それを演じるのも、無茶苦茶な私生活でキャリアが死にかけていたロバート・ダウニー・Jrというのも、現実とのリンクを意識した非常に上手いキャスティングだったと思う。


監督はジョン・ファブロー。『アイアンマン』の監督をするまで、ほぼ無名の人だったけれども、一気にスターダムに駆け上がった。アメコミの世界観をちゃんと映画にし直すときの、勘所がいろいろと解っている人だと思う。ストーリーはほぼアイアンマンの原作を踏襲しているけれども、911以後のアメリカという時代の変化によって、アイアンマンに負わされたキャラクター性にもより深みが出てきた。それをちゃんと表現できているのは監督の力量による。


『アイアンマン』の面白いと感じるところは、やっぱり手作りのヒーローというところだと思う。自分で開発したアイアンスーツというギミックが、ものづくり心を刺激する。1にはそれが顕著で、アフガンの洞窟で作った試作機から、アイアンマンとしての完成機まで、試行錯誤で機能を練り上げて行く様子が面白い。


登場人物は全員魅力的だけれど、僕が面白いなぁと感じたのは、ジェフ・ブリッジスが演じたオバディア。あのトニーの良き理解者(親代わり)な感じとか、老練なアメリカの経営者な感じとか、いちいち面白い。『アイアンマン』シリーズには、エゴ剥き出しでトニーと敵対するエグゼクティブが良く出てくるけれども、オバディアの造形は、『アイアンマン2』のハマーと並んで秀逸だと思う。


今、改めて見ると、『アイアンマン』ってアイアンマンがそんなに活躍しない。アイアンモンガーを倒したのも、ペッパーが殺ったようなものだし。ただ、アイアンマンはアイアンマンであるだけで、無双できるという中盤の描写はとても良かった。戦車を爆破するところとか。もっと派手な描写は『アベンジャーズ』で大活躍するからいいのかもしれない。


個人的には、純粋に正義感に燃えるトニー・スタークが良かった。この後、すぐに正義感もヘタれてしまうからねぇ……