『アイアンマン3』

映画館で鑑賞。ちなみに2D字幕版。



【ストーリー】
アイアンマンことトニー・スタークが、アメリカの破壊を目論むテロリストのマンダリンと戦う。


【見所】
こういう映画は映画館で観ないと!
ということに尽きる。


【感想】
満足したよ! というしかない映画だった。


マーベルの統一された世界観で描かれるので、今回のアイアンマン3は『アベンジャーズ』の後の出来事になっている。今回の敵は、ウサマ・ビン・ラディンみたいなマンダリンと、彼と手を組んだ研究機関AIM。一応、アイアンマンの完結編ということになっているけれども、『アベンジャーズ2』もあるし、映画的には興行収入が良ければ何度でも蘇るんじゃないかな〜と思う。映画のラストでもそんなことが書かれていたし。


監督は脚本家としてのほうが名を知られているシェーン・ブラック。今回、ジョン・ファブローが監督を降りた(でも、ハッピー役では出とるやんけ!)ので、それが吉と出るか凶と出るか……というのが心配だったけれども、さすがマーベルの人選というか、一定以上の水準を叩き出していると思う。キャストは前作を踏襲しているので、安心して観ていられるという感じ。それよりも、『アベンジャーズ』後だということが腐るほど語られるのに、シールドの応援も他アベンジャーズの話もなかったのは気になった。ブラックウィドウとか、ニック・フューリーとか、カメオ出演でいいから出せばよかったのに。


今回の敵、マンダリンは、原作だと中国の闇を支配して10個の指輪を武器に戦う……という、アイアンマンの世界観から浮きまくってないかな〜というキャラクターなんだけれども、ちゃんと911以後の世界に合わせたものになっている。ベン・キングスレーが怪しさ爆発の演技をしていて、中盤までは「許すまじ!」という感じだったのだけれどね〜。『バットマン・ビギンズ』におけるラーズを100倍酷くした感じ。ベン・キングスレーって『ガンジー』とか、最近では『ヒューゴの不思議な発明』のイメージがあったので、あそこまでいくと芸達者だな〜と感心してしまった。後、さすがに10個の指輪で戦う描写はなかった。当たり前だけれど。


ストーリー的には随分粗が目立つものになっていると思う。敵は一応はテロによる世界支配を目論んでいるのだけれども、実際のところ、アイアンマンとは敵対する理由はないんだよね。そこを理由付けするためにハッピーが犠牲になったり、トニー・スタークが住所を自分から教えたりして、無理矢理襲撃させているわけだけれども、そこに到る過程も到ることにも無理があると思った。ただ、そこから怒濤の展開が待っているので、あまり気にならない感じ。日本映画も、ストーリーの無理なところがあるのなら、こういう怒濤の展開で目眩ましすればいいのに! と思った。


その後、テネシー州のシーンで、子役の男の子との交流が描かれていて、ここは『アイアンマン3』全体の中でもかなり良かった。子役の男の子(タイ・シンプキンス)がとにかく上手いんだよね。車に乗ったスタークと話すシーンとか記憶に残るホッコリとする場面だった。あと、描写の点で言えば、今回は「はずし」の描写がふんだんに盛り込まれていた。こういうのもアイアンマンの軽妙な世界観に合っていていいと思う。


『アイアンマン』のシリーズは、トニー・スタークが過去(自分だったり親だったり)のツケを返済する話になっている。でも、1作目で軍事企業の社長だった自分の行為のツケを、2作目では父親のツケを返済して、そこから返すものがなくなってきているな〜というのが3作目に入ってからの問題点だと思う。だからこその、『アベンジャーズ』後の世界だったり、シリーズ完結編だったりするのかな。最後はトニー・スタークはトニー・スタークに戻って終わるという終わりかたは、シリーズのラストとしてはとても素晴らしいものだと思う。


あと、ガイ・ピアーズの昔のキリアンは笑えたとか、超人が超人すぎるとか、爆発で影が残る描写はどうなんだとか、障害を抱えている人の描き方には賛否が分かれるだろうな〜とか、いろいろと語れる部分はあると思う。ただ、映画館に観に行って損はないのは確か。マーベルの他の作品群の予告とかも観られるしね。