『マチェーテ』

スカパーで鑑賞。



【ストーリー】
マチェーテを持ったダニー・トレホが大暴れして女にモテる。


【見所】
ロバート・ロドリゲスの本気の悪ふざけ。


【感想】
全編「これはこういうものだから!ね!ね!」という映画だった。


元は、映画『グラインドハウス』の偽予告編。それが結構面白そうと評判だったので、実際に作ってみました……という映画。なので、スタートラインからしB級映画のノリなので、見る前からハードルを極限まで下げられるというアドバンテージがあると思う。僕も、ちょっとここはどうかな〜と思うところがたくさんあったのだけれど、「ま、こういうもんだから」と納得して楽しく観ることができた。


僕はこの作品って『レジェンド・オブ・メキシコ デスペラード』で本来はこういう映画にしたかったのだろうな〜というのを、リベンジで作った映画なのだと思う。主役は、ロドリゲス映画常連のダニー・トレホ。「凶悪な面構えのメキシカン犯罪者」役専門の俳優が抜擢されている。キャストは意外に豪華で、デ・ニーロや、セガールが出ている。B級映画的には、セガールはOKでも、デ・ニーロはどんなもんかな〜と思うけれど、そこは「デ・ニーロアプローチ」でデニス・ホッパーと見分けがつかなくなっている。


話としては、鉈(マチェーテ)の使い手の男が英雄になるというものになっていて、トレホが鉈や工具で敵を殺しまくるのを何も考えずに見ればいいものになっている。でも、良いな〜と思ったのは、この映画がアメリカとメキシコの間の国境問題(移民問題)をちゃんと取り上げているところ。馬鹿なアクション映画で、こんなに上手く国境問題が描かれているとは思わなかった。


あと、良かったのは女性が誰もグラマーでカッコいいところ。特に隻眼になった後のミッシェル・ロドリゲスと、マシンガンを構えるミニスカ看護婦は最高だった。惜しげもなく裸が出るところもいいし、ブ男のトレホが理由もなくモテまくるところも『マチェーテ』を観にくるような層の観客の希望を持たせるものだと思う。


逆に、ちょっとどうかな〜と思ったのは、デ・ニーロの取扱。ロドリゲスって、ビッグネームの俳優の扱いにいつも困るよね。今回も、その悪い癖が出ていて、終盤のあれはちょっとクドいと思った。リンジー・ローハンにぶっ殺されるだけでいいじゃんと。


実際には、僕が不満に思うところはこれくらいで、他は「まあ、こういうもんだから」で全部許せるものだった。メキシコの、メキシコっぽさを堪能できる映画としては最強に近いような。エンドロールの音楽も良かった。