『シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語』

iTunesで鑑賞。



【ストーリー】
サーカスを訪れた少女が不思議の世界に迷い込む。


【見所】
シルクドソレイユの超絶肉体表現。
逆にいうと、それだけとも。


【感想】
映画としては……?


シルクドソレイユのサーカスを映画にするという試みは、結構面白いんじゃないかと思う。劇場とかだと、遠目にしか見られないだろうから、それを映画館の大画面でアングルとかも自由に視点を操作すれば、それは誰も想像を絶する映像になる……というのは、この映画を作る意義だと思う。


ただ、映画にする以上は、ストーリーがないと辛いわけなんだけれど、サーカスの中ではストーリー性の高いシルクドソレイユであるにもかかわらず、あんまり出来が良くないな〜と思った。


この映画、異世界に行ったら行ったまんまで終わってしまうんだよね。最初に場末のサーカスの話をしているのだから、シルクドソレイユの世界に行って、どう戻るのかな〜と思ったら、舞台の幕が閉じるという終わりかたになっていて、そりゃないよ〜と憤慨してしまった。それをするくらいなら、最初から舞台劇としての描きかたをしたほうが良かったと思う。


また、ストーリー的にも序盤の道化師がいなくなったままだし、世界の対立関係みたいなものが随分飲み込みづらいものになっている。この辺りは、多分、シルクドソレイユの舞台で観れば、そんなに気にならないのだろうけれど、映画の場合だとやはり気になる。というのも、CG全盛の今の映画は、シルクドソレイユの超絶演技であっても、それを凌駕する世界をすでに観客に見せているからだ。


なので、製作のジェームズ・キャメロンは、もっと映画的にシルクドソレイユの世界を表現できるように、大胆なアレンジをするべきだったと思う。


で、見所のシルクドソレイユの演技については超スゴいの一言。何気のない動きの一つ一つから、卓越した運動神経がほとばしっている。特に、少女が最初に出会う道化師の、よくもまぁあれだけ漫画的な動きができるものだと感心してしまった。ビジュアルの異質さと、民族調の音楽の融合も良かった。


でも、中盤以降のビートルズはどうかな〜。色々と惜しい作品だと思う。