『賢く生きる恋のレシピ』

スカパーで鑑賞。


賢く生きる恋のレシピ [DVD]

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【ストーリー】
妻に先立たれた偏屈な大学教授が、元教え子の医師と恋に落ちる。


【見所】
エレン・ペイジトーマス・ヘイデン・チャーチ
この脇二人組に、サラ・ジェシカ・パーカーは食われちゃったね。


【感想】
出てくる車も古くさければ、街並みも古くさくて、「古い映画だな〜」と思って観ていると、意外にも2008年の映画だったのでビックリ。なんというか、平成の世で、昭和感に充ち満ちた場所を舞台にした映画を観るような感じ。


物語的にはアレクサンダー・ペインの『ファミリーツリー』みたいな映画だったけれども、こっちの作品の場合、より恋愛面が描かれている。監督はノーム・ムーロという人で、調べてみるとCM監督出身で、『ダイ・ハード5』の監督をやる予定だったり、『300』の続編の監督として候補に挙がるような人らしい。ということはアクションを評価されてのことだと思うのだけれど、『賢く生きる恋のレシピ』においてはアクション的なところは全然なくて、むしろ鈍くささが重視されている。でも、鈍くささも一つのアクションと言えるのかもしれない。


妻に先立たれて、大学の講師も執筆も上手く行かない教授が、ひょんなところから元教え子の医師と巡り会って、恋に落ちる……という内容なんだけれども、恋愛映画にあるようなロマンチックな要素は極力排除されていて、それよりも分裂した家族の再生を重視している。この辺りが『ファミリーツリー』に似ているな〜と感じるところで、特に「おじゃま虫」的存在が欠かすことのできないキーキャラクターになっていくところなど、アレクサンダー・ペインはこの映画を参考にしているのかと思うほどだった。


役者陣は、エレン・ペイジトーマス・ヘイデン・チャーチがとにかく目を引いた。この二人が出てくるシーンはどれも楽しい。エレン・ペイジって『スーパー』ではビッチで馬鹿な女を演じていたけれども、実際はこの映画や『インセプション』のように、真面目っ子を演じさせると無類の魅力を発揮するのだなぁと思った。共和党青年部に所属して、スタンフォード大学にも合格するという、早熟な女の子(でも、心に言いようのないストレスを抱えている)をとても上手く演じている。


それ以上に良かったのは、トーマス・ヘイデン・チャーチだった。この人は『スパイダーマン3』でサンドマンを演じていた記憶がある。大学教授の義理の弟で、尻を出して寝るのがデフォルトなダメ人間なんだけれども、どんどんキャラクター的に重要になっていって、最後では彼がいない一家は考えられないとまでなる。あの、バカなんだけれども、悪意がなく、朴訥で、分をわきまえているところがすごく良かった。


主役のデニス・クエイドは偏屈な大学教授を上手く演じていたと思う。オープニングでは全てにおいて無気力だったのが、ラストでは新しい人生を取り戻せて「よかったね〜」とほろりとしてしまった。サラ・ジェシカ・パーカーはそんなに印象に残らない。これは主眼が家族の話になっちゃったから仕方ないのかもしれない。長男の人ももう少し見せ場みたいなものがあれば良かったと思う。


全体的に言えば、そこまで感動するような映画ではないけれども、昼下がりの午後になごみたいのなら十分すぎるほどだと思う。あと、この映画はタイトルが全然ダメだと思うね……レシピ関係ないやん。