『DOG×POLICE 純白の絆』

テレビで鑑賞。


DOG×POLICE 純白の絆 [DVD]

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【ストーリー】
ダメ警官とダメ犬のコンビが爆弾魔と対決する。


【見所】
映画史に残る9分間!
地下鉄工事現場で鉄骨の下敷きになる市原隼人、傍にはリミット9分の爆弾!さあどうする!どうする!
監督は時空を歪めた!
さすがに唖然とした。バカじゃねーの?


【感想】
まあ、駄作ってことは分かってましたけれど、ということでどれだけの駄作かを確認したくて鑑賞しました。


そこまで酷くはなかったけれどね!


こういう「犬映画」って、犬の演技力はスゴいが、犬以外のすべてがアレな出来が多いので、相対的にダメさが際立つという負の構造になりやすいと思う。この映画の場合、市原隼人の演技力、監督のあほな描写、脚本のバカっぽさの三つが低調なため、どんどん観ていて「ギャグじゃないのか」という思いが強くなった。


でも、市原隼人はこんなくだらない脚本の映画を、下手なりに頑張って演じていたと思う。周囲のベテラン俳優や芸達者に比べると、さすがに未熟さが際立つけれども、これからのキャリアアップを期待したいところ。


でもまあ、脚本の大石哲也と監督の七高剛は、ちょっと擁護できない低レベルな仕事をしてくれた。ちょっとヤバいレベルだと思う。テレビ屋が鼻くそほじりながら仕事してたんだろうな、きっと。


まず、脚本については、とにかく後付設定が多過ぎる!そしてあり得ない警察対応に唖然とする!市原隼人の演じる早川が、水野を前から知っていたエピソードとか、何だそりゃな唐突さだし、シロの母親が究極の嗅覚を持っているなんてイキナリ出てきてビックリ。爆弾魔が爆弾をセットしているのに人を避難させないってアホか!子どもが楽器を演奏している上で爆弾を発見って、絶対に後で問題になっているよね……爆弾魔の設定もよく分からないし。


設定について言えば、犬屋の面々はみんな一流の人材っぽく描かれているのに、活躍する場面がほとんどないんだよね。カンニング竹山なんて、ハッカーっぽい技術を持っている設定なのに、やっていることと言えば「空音ミクだ」って言うくらい。他の隊員のスキルがまったく活かされない。脚本については後付設定と行き当たりばったりで、話にスムーズさが全然ない。


で、それも監督に力量があればなんとかなるのかもしれないけれど、ダメさに磨きがかかる始末だった。見所の「最後の9分間」は本当にギャグかと思ったし、犬より速く走る爆弾魔というありえない描写を平然とする。犯人の行動に一貫性があるようにも描いていないし、主人公の行動にも説得力がない。単独行動するな!って百回言われても単独行動する警察官ってダメだよね。それに感化される仲間もバカだし。


それでも、最悪とまでいかなかったのは、犬の演技と、キャストがそこそこ良かったから。逆に言えばそれだけとも言える。


もっと、常識を持った話作りをしないと、本当にダメだと思うんだけれどね。日本映画が隆盛っていうけれども、実際は空洞化していて、いつアタリショックみたいなことが起きても不思議じゃないと思う。幸い、作家性の強い映画監督が気を吐いているので、希望は垣間見えるのだけれど。