『テッド』

映画館で鑑賞。



【ストーリー】
しゃべるクマとの腐れ縁が続く男が生き方に悩む。
第一幕:オープニング〜テッドが一人暮らしをはじめるまで
第二幕:公園でマリファナを吸おうとする〜テッドが死ぬ
第三幕:家に持ち帰る〜ラストまで


【見所】
テッドの可愛さ。
あと、『フラッシュゴードン』のアホっぽさ。コメディと思って観ると、笑いの難易度が高いので、ちょっと肩すかしになるかも。


【感想】
面白いという話は聞いていたのだけれど、ちょうど1年前に『宇宙人ポール』という映画があって、あれとはテーマは全然違うけれども、語り口はほとんど一緒だなぁと思った。『宇宙人ポール』と違っているのは、テッドが社会的に認知されていて、出会いよりも別れがクローズアップされていることか。


というわけで、僕にとっては『宇宙人ポール』と同様に、「笑いたいのに笑えない……」感がウズウズする映画でした。


監督はこれがデビュー作となるセス・マクファーレン。テッドの声を演じているのも監督自身だけれども、経歴を観ると『ヘルボーイ・ゴールデンアーミー』などで声優をやっていた人らしい。中年になってしまったテディベアのテッドの、ゲスさや親父っぽさは監督と声優の2役があってこそ成り立っているのかなと思った。主演はマーク・ウォルバーグ。この人はコメディアンではなくて、経歴を観てみると『ザ・シューター/極大射程』とか『ザ・ファイター』とかに出演しているバリバリのアクション俳優で、フィルモグラフィーを観ると「あー、だからフラッシュゴードンなのか!」と納得がいった。アメリカでは脳筋役者みたいな立ち位置なのか。あと、歌が下手、という残念さが堪能できる。


個人的にはこの映画、女優たちがみんな美人で良かった。特にストーリーに絡まないジョンの同僚ですら超美人。しかも、ノラ・ジョーンズまで出てくるし。ロニーを演じたミラ・キュニスははじめて観た女優さんだけれども、小池栄子がキャリアウーマンをやってて、しかも優しい感じが僕好みだった。ミラ・キュニスは『ブラックスワン』とかに出ている女優さんみたい。『ザ・ウォーカー』にも出ているのか……記憶にないけれど。どうでもいいけれど「マコーレ・カルキンとか、アシュトン・カッチャーと付き合う女」という部分が、今回の映画の「大人になりきれない子供な彼に惹かれる女」に説得力を持たせていると思う。


とにかくこの映画は、役者たちのリアルとの表裏一体が激しくて、とくにマーク・ウォルバーグ演じるジョンが、コカインをキメてアジア系の隣人(あれはベトナム系だと思う)とトラブルになる部分は、よくこんな黒歴史を彷彿とさせるシーンをノリノリで演じるなぁと感心してしまった。そういうわけで、この映画はとにかく下品です。下品な笑いが好きな人には笑える部分が多いと思う。僕はテッドがスーパーのレジで顔射の真似をするシーンで不覚にも笑ってしまったし。あと、なんともしれない微妙な映画の引用が面白すぎた。『フラッシュゴードン』もそうだし、『007/オクトパシー』もそうだし、いちいちチョイスが変。ジョンとテッドが殴り合うシーンは『チャイルドプレイ』のオマージュだろうねぇ(天井扇風機から垂れたヒモにぶらさがるテッドとか)。


物語的には、『宇宙人ポール』や、これまで大量に作られた「意志のないものに意志が宿る」系の映画の枠組みを逸脱はしていない。型があって、そこを踏み外すも、踏襲するも、ちゃんと計算されている感じ。アメリカ人なら誰しも笑って面白いと感じるものになっている。でも、笑いというのは、その土地に根差しているものだから、やはりこれを日本人の僕が観ると、魅力が半減してしまうな〜と思った。今回、字幕版の監修を町山智浩さんがしているらしいけれども、やはり難しいものは難しい。これは『宇宙人ポール』にも感じたことだけれども、知的センスで笑わせる系のエッジが効いたコメディは、やはり国境が大きな壁になるなぁと。ただ、「面白いコメディ映画」のコメディ部分がのれなくても、面白い部分は全然のれた。


僕はジム・キャリーベン・スティラーみたいな笑わせ方のほうが好きだけれどね。映画館で観るぶんには笑えるし。