『007 スカイフォール』

映画館で鑑賞。



【ストーリー】
ジェームス・ボンドがテロリストに狙われたMを救うために、故郷の館に籠城する。
第一幕:オープニング〜川への落下
第二幕:MI6の爆破〜査問会襲撃
第三幕:スカイフォールへ〜ラストまで


【見所】
オープニングムービーは、今年見たオープニングムービーの中では一番の出来だった(ちなみにこれまでは『ドラゴンタトゥーの女』)。007のオープニングムービーはいつもカッコいいけれども、今回はかなり気合が入っている。幻想的な映像は、これが映画のダイジェストであるという贅沢感。一番の見所は? と聞かれれば、まずはここを挙げたい。
あと、Qが良かった。短い登場だけれど、しっかりと印象に残る人物像になっている。MI6の面々がチームプレーをするというのも時代を感じさせられた。


【感想】
ダニエル・クレイグジェームス・ボンドになって、初めて観た007映画。とにかくカッコいい。酒場でグダグダになっているときも匂い立つ濃厚な男のアロマ!

今作では(まだ3作目なのに)ジェームス・ボンドロートルであるような役回りになっている。スパイというのが時代遅れだと言われる中で、スパイの中のスパイも老いと直面しているのか。確かに、今作のボンドに若々しさはない。でも、ボンドはMを狙うテロリストを相手に、孤軍奮闘で獅子奮迅の働きをするんだな〜。ギミック満載のアストンマーチンを駆って。なんというか、アメコミの傑作『ダークナイト・リターンズ』を読んでいるような感覚があった。

今回の敵役、ラウル・シウヴァを演じたハビエル・バルデムは、『ノーカントリー』で培った「わけのわからない狂気の持ち主」を楽しそうに演じていた。あの「のぼー」っとした表情で語られる、ちょっと変なセリフの数々が面白い。ちょっと軽いところが魅力になっていると思う。こういう演技の使い分けができるところが名優たる所以か。

監督がサム・メンデスでどんな007映画になるのか想像がつかなかったけれども、序盤から中盤にかけては、正統的なスパイアクション映画になっていたと思う。中国やマカオが舞台になっていたし、ラウル・シウヴァの造形から、これはもしかして『黄金銃を持つ男』のリメイクなのか?? と思ったけれども、そうでなかったので安心した。軍艦島をモデルにした島とか、マカオのカジノとか、上海の電光掲示板とか、とにかく映像美で見せまくる前半は楽しい。

でも、後半はどうかな〜と思った。賛否が分かれそう。今回、ジェームス・ボンドが籠城するという展開になるのだけれど、これをどう見るかによる。大音量の音楽をかけて、ヘリコプターで襲撃してきたシウヴァはとても良かった。そこからラストにかけては、正直、尻切れトンボに終わったような気がする。他に犠牲者を出さないために、あそこに籠城したのだから、派手な展開はなかなかならないのだろうけれど。

それでも、後半になってくるとオープニングムービーが映画のダイジェストであることに気づいて、「あーあれがこうなるのかー」みたいな楽しみも出てきて、このあたりはサム・メンデス監督の才能かな? と思った。