『スピード』

テレビで鑑賞。


【ストーリー】
SWATの主人公が、爆弾魔と命を掛けたゲームをする。
第一幕:エレベーター
第二幕:バス
第三幕:地下鉄
見事な三幕構成。


【見所】
息を吐かせぬ展開と、俳優陣の熱演。


【感想】
傑作


アクション映画としてはほとんど完璧に近い映画で、ハリウッドの「スカッとする」エンターテイメント映画の中では、筆頭に挙げられる作品だと思う。


とにかく脚本が上手く、エンターテイメント映画の基本である三幕構成の鉄則がこれでもかというぐらいに守られている。三幕ごとに舞台が変わり、絶体絶命の状況があり、それを克服する主人公のキャラ付けなどが無理なく描かれている。ちゃんとした脚本を映画の中で活かす演出も優れていて、劇中、バスが暴走しだしてずっとテンションが上がりっぱなしの状態が続く。


演者は主役のキアヌ・リーブスがこの作品で一気にスターダムに立った。主人公は単なる筋肉バカではないキャラクターだということを、第一幕の仲間を躊躇なく撃つところで表現している。でも、キャラクターの魅力はキアヌのルックスに負うところが大きいかな。それはヒロインのサンドラ・ブロックも同じだと思う。ハマり役と言えるわけで、脚本演出の妙との相乗効果になっている。


そして、今作の悪役であるデニス・ホッパーは、金目当ての爆弾魔というともすればケチな小悪党になりそうなキャラクターを、背筋が凍る大悪党に見せるための説得力に満ちた配役だったと思う。キャリア的に低迷していたデニス・ホッパーの再評価にも繋がった(けれども、この後にもっと良い役に恵まれていれば……と残念でならない)


どこを切っても勉強になる作品。ちょっとしたところでピンチになったり逆転したり、山場山場のつるべ打ち。そして、勧善懲悪で小難しいところも何もない。エンターテイメント映画はかくあるべし、という充実した映画としてこれからも歴史に残ると思う。