『ロック・オブ・エイジス』

映画館で鑑賞。


【ストーリー】
スターを夢見るシェリーとドリューと、キャリアの岐路に立ったロックスターが、ロックの殿堂『バーボンハウス』で交差する。
第一幕:オープニング〜シェリーとドリューの丘でのデート
第二幕:バーボンハウスでのライブ〜シェリーとドリューの再開
第三幕:ステイシーがバーボンハウスに来る〜ラスト
実際にはシェリー、ドリュー、ステイシーの物語が同時平行に進むので、重複した三幕構成になっている。


【見所】
トム・クルーズ
観るだけで女をイかせる男なんだけれど、その漫画的描写も納得のカリスマがある役だった。今、日本でこれができるのは、ガクトくらいかなぁ……
あと、やっぱりロックの名曲。素晴らしい。


【感想】
観る前までは、これがミュージカル映画だと知らなかったけれども、オープニングのバスの車内でいきなり歌い出すところから、「あ、ブロードウェイのミュージカルが元なのかな?」と思った。パンフレットを買ってみると、確かにそうみたい。


役者陣はかなり良い仕事をしていると思う。80年代のもさっとした感じをちゃんと表現できているし。主人公のシェリーの「オクラホマから来ました」感から、段々すれていくところとか、ドリューのヴァニラアイス的なポップスターになるところとか。ドリューは80年代のダサい部分を一身に背負っていて好感が持てた。


あと、ポール・ジアマッティ扮する悪徳マネージャーとか、保守的な市長夫人を演じたキャサリン・ゼダ・ジョーンズとか、アレック・ボールドウィンとか、ものすごくマッチした配役だったと思う。ストーン誌のインタビュアーの無理している感も良かったし、ストリップバーも女将さんの雰囲気が只者じゃないなぁと思ったら、メアリー・J・ブライジだったり。


でも、この映画で一番得をしているのは「ロックの神様」ステイシーを演じたトム・クルーズだと思う。自身のセックスアイコンとしての姿を十二分に利用して、眼差しだけで女を陶酔させる男を、しかも空虚さを抱えた内面を持つ男をノリノリで演技していた。トム・クルーズは、自身のキャリアの時々に、こういうトリッキーで印象的な役を選ぶところが侮れないと思う。


映画はロックの黄金期から流行が変わりつつある時代を描いていて、しかも、保守的な政治家と支援者がロック排斥運動が盛り上がる様子も描いている。教会に集う奥様たちの「やったるぜ」的な歌も面白いけれど、こういうのって現実でもアル・ゴアとその夫人がロックを槍玉に挙げていて、あながち荒唐無稽な話ではない。市長夫人のバカっぽく、ティーパーティー的な脳みそとかも、サラ・ペイリンっぽかった。


30代以上の人なら、どこかで聞いたことがある曲が物語に併せて流れるので、僕的にはそれだけでも嬉しかった。難点を言えば、エイズのこととかが描かれないのはどうかな〜ということと、ちょっとロックに肩入れしすぎ(ロック映画だから仕方ないけれど)なところ。ロックンロールの「陶酔感」の表現はなかなか素晴らしく、なかなか侮れない映画だと思う。