『Mr.インクレディブル』

テレビで鑑賞。観るのははじめて。


【ストーリー】
用済みになったスーパーヒーローが再起する。


【見所】
練りに練られたピクサーのアクション。今までの数多くの映画を土台にして、そこからさらに新しいアクションを生み出す、アイデアの玉手箱が素晴らしい。


【感想】
不易流行がピクサーの骨子だよね。


用済みになって、家庭を維持するのにも一苦労なスーパーヒーローが、一発逆転の再起を掛けようとするが、それは悪漢による周到な陰謀だった……という内容。実写映画(というかアメコミの世界)では言わずとしれた『ウォッチメン』がスーパーヒーローが規制されている世界を描いているけれども、あれは一部を除いてスーパーな部分が一つもないヒーローの物語だった。今作のコンセプトは、アヴェンジャーズ同士の戦いを描いた『シビルウォー』か、『ダークナイト・リターンズ』に近いかもしれない。


でも、そういう世界観はだいたいが暗くなりがちだけれど、今作はピクサーのアニメーションだからということもあって、かなりカラッと明るいトーンになっている。世界観はアメコミでも、やっていることは『スパイキッズ』に近いと思う。そういうわけで、物語はよくあるものだけれど、やはり世界一のストーリーテリング工場であるピクサーが作ると、ここまで厚みが出てくるのかと感心した。


スーパーヒーローのアクションを、おそらくは何十人というスタッフがアイデアを煮詰めまくって描く、ノンストップのアクションは圧巻の一言だと思う。ゴム人間のお母さんとか、ちょっとキモいくらいの七変化を見せるし、透明化能力とバリア能力を持つお姉ちゃんも良かった。お姉ちゃんは最初は貞子みたいなのが、どんどん可愛くなっていくのも良かった。敵のシンドロームの能力も面白いけれど、毎回、あのビームを食らってしまうんだねぇ(^_^;)


あと、デザイナーのエドナ・モードの、誇張されたココ・シャネルみたいな感じも良かった。あそこでエドナが語るマント不要論が、あそこに繋がるのか!と思う展開も上手い。シンドロームの部下のミラージュも、ちゃんと型通りにMr.インクレディブルを助ける、良い役だったと思う。


惜しいのは、最強のロボットにもっと怪獣っぽい動きが欲しかったかな〜と思ったところ。監督は『アイアンジャイアント』の監督だから、そういうのも得意だと思うんだけれどね。ラピュタのロボット兵っぽさをもっと真似ても良かったのでは……と思った。


でも、超大満足!何も考えずに見れて、気持ち良い鑑賞後の余韻に浸れる映画だと思う。二作目、三作目もあれば見てみたい。