『サマーウォーズ』

テレビで鑑賞。2回くらい観たことがある。


サマーウォーズ 期間限定スペシャルプライス版 [DVD]

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【ストーリー】
数学の得意な少年が、憧れの少女の誘いで田舎の大家族のもとを訪れ、世界を救う。
第一幕:オープニング〜暗号を解く
第二幕:ラブマシーンの登場〜侘助が戻ってくる
第三幕:花札〜ラスト


【見所】
大家族って観ているだけで楽しいな〜という感じ。机を並べての食事シーンとか。あと、意外に死角のないキャスティング。


【感想】
侘助って、侘助って名前でなければ、そんなにひねくれる理由もないよね、と思うのだよねぇ。


サマーウォーズ』はアニメ映画としても最高に面白いけれども、普通の映画としてもレベルが高くて細田守監督の力量の高さが良く分かる。レベルが高いな〜と感じたのは、まずストーリーがしっかりしているところ。OZの設定から、田舎の大家族の元に訪れて、世界を救う……というのは、結構説明の難しいストーリーだけれど、これを特に破綻もなくまとめられたのはとても良かった。話によると、『デジモン』の何話目かが原案になっているらしいけれど、新しい要素が大きくなるとストーリーを時間内にまとめる難度はすぐに上がってしまうからねぇ。


細田守監督の絵って、ジブリっぽくはないけれど、オタクっぽくもない絵で、リアル感のある日常の中の非日常(これは、田舎の大家族の描写ね。信州上田にアベンジャーズがいた! みたいな設定だよね)を描くには丁度良い塩梅だなぁと感じた。田舎の大家族の設定は、実際はOZよりもありえない設定なんだけれど、そこをちゃんとアニメ的なメソッドではなくて、リアル感を持って描いている。一方、OZの設定はビジュアルは荒唐無稽だけれど、SNSがどんどん発展していけば十分ありえるものになっている。この、「ありえないけれど、リアル感のある現実」と「ありえるけれど、リアル感のない仮想」のバランスが良く取れていて、ここも感心した。


キャラクター的には、都会のヨソ者も『わらの犬』みたいに排除しようとしない田舎の大家族の描写を観ると、なんで侘助があんなにひねくれてしまったのか、その理由が良く分からない。隠し子だったとしても、あの雰囲気の家族だったら暖かく向かい入れられて、ひねくれずに成長して、市役所の職員とかになるんじゃないのかなぁ(というわけで、名前が理由としか思えない)。この辺りの描き込み不足の割を食ったのが夏希で、夏希と侘助の関係が不十分なので、夏希が栄の後継になることを示す花札対決が良く分からない運任せの勝負になったのかな……と。


まあ、佳主馬とか目を引くキャラが沢山出てくるから、そういうところは気にならないよね。夏希の地味さを、周囲の存在感ある助演が持ち上げている感じ。男連中は漁師のおっさんとか、怪しげな自衛隊員とか、色々とキャラが立っていたと思う。でも、女系家族にしては、栄と夏希以外の女性陣は軒並み影が薄い……(そして夏希が地味)。だから佳主馬が中盤のヒロインになってしまうんだろうねぇ。主人公の健二のキャラクターは良かったと思う。最後の最後で大活躍する展開が待っているし。でも、マスコミに顔写真付きでハッキングの犯人と名指しされる展開は、暗号解除に失敗していたのだから、考えてみるとありえない展開だよねぇ。あれはなにをもって健二が犯人って話になったのだろう? もう一回見直せば分かるかもしれないけれど。*1


個人的には、大満足な作品。今日公開の『おおかみこどもの雨と雪』も観たいな。

*1:ここは、健二のアバターをラブマシーンが盗んだから……みたいです。となると、なんでラブマシーンは健二のアバターを盗んだのか? が良く分からない