『シックス・センス』

テレビで鑑賞。今回で二度目。


シックス・センス [Blu-ray]

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【ストーリー】
幽霊を見ることができる少年が、精神科医の力を借りて成長する。
第一幕:オープニング〜地下で妻を訪ねてきた男を観る
第二幕:教室でのシーン〜教会でのシーンまで
第三幕:うなされる母親に話しかける〜ラストまで


【見所】
オチ。でも、オチは有名なので、もう伏線を堪能する映画になっていると思う。


【感想】
シャマランは不安映画を撮影するのが上手い。言葉にすることが難しい不安を、少しずつ明かしていくところにホラーが生じる。でも、そのホラーの正体が「枯れ尾花」であるときが多々あって、それがシャマランの評価を落としていると思う。でも、この映画は傑作。オチの秀逸さ云々よりも違和感がどんどん膨らんでいくところが上手い。


この映画、本当に幽霊のビジュアルが出るのは1時間経ってから(キッチンで女の幽霊が見えた場面)。それまでに違和感をどんどん積み重ねていって、いざ幽霊が見えると今度はもろ見せで出していく。幽霊をもろ見せするという演出は、『呪怨』とも共通するところがあって、これが同じ年に公開されたというのは、ホラー史的にもなにか意味があると思う。


ホラーの演出でドラマを描くという手法が冴えまくっているので、研ぎ澄まされた緊張感が最後まで持続するのが面白さに繋がっている。特に、ハーレイ・ジュエル・オスメントの泣きそうな顔と囁き演技は、本当にこの映画に貢献していると思う。ブルース・ウィリスの深刻そうな顔と二本立てで、映画の空気感を作り出している。


物語は、少年が自分の使命に目覚めるまでの過程と、精神科医が失ってしまった自己の復活を描いている。少年が使命に目覚めて幽霊を助けたあとに、アーサー王の剣を引き抜く役を得たというのは、物語の展開としてとても良かった。『凹んでいる人が特別な使命に目覚める』というモチーフはシャマラン映画に共通する作家性かもしれない。そのあとの車中の親子の会話も泣けた。演出的には赤い色を効果的に使っているらしいけれど、それはあまり効果的ではなかったかな。


オチについてはあまりに有名だけれど、実際、このオチのせいで「シャマラン=オチの人」という評価が与えられてしまって、その過程であるテリングが軽視されてしまったような気がする。最近はシャマランの評価も落ち着いたところにあるので、正当に映画が評価できる状態にあるのかなと思うね。個人的には嫌いになれない映画監督の出世作ということで好き。