『エクスペンダブルズ』

DVDで鑑賞。


エクスペンダブルズ [Blu-ray]

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【ストーリー】
傭兵軍団が中米の小国を牛耳る独裁者とCIAと戦う。
第一幕:オープニング〜チャーチの依頼を受けるまで
第二幕:突然現れたガンナーをあしらう〜地下でサンドラを助けるまで
第三幕:再びサンドラが攫われる〜ラストまで


【見所】
少年のようなおっさんたちの、アクション祭り


【感想】
僕はこの世界観に執着はありません。


というわけで、一部の好事家には大好評なこの作品なのですが、僕は冷静な視点で見ることができたかな〜という感じです。この映画、スタローンの「80年代アクション映画俳優復権」の心意気に賛同できるかどうか、80年代アクション映画俳優に熱狂してきた過去があるかどうかで、反応の度合いが異なると思う。もちろん、男か女かの違いが一番デカいだろうけれど。


シルベスター・スタローン率いる傭兵「消耗品軍団」が、メキシコ湾の小さな島国の独裁者を暗殺するように依頼を受けて、大殺戮ショーを繰り広げる……という話。この物語の枠組み自体は本当に安っぽい、80年代にスタローンやシュワルツネガーのフォロワーが100本くらい作成したアクション映画のフォーマットをそのまま使っている。でも、「80年代映画復権」ではなくて、実際は「80年代映画俳優復権」のための映画であるのは、やはりこの映画が2010年に公開された映画だからだと思う。80年代の使い古されたフォーマットでも、今の蓄積されたメソッドがあればこんなに面白くなる! ということが主眼にある。


なので、現在の撮影技術とメソッドを使えば、消耗品になってしまったアクション俳優たちもこんなに見栄えが! という感じになっている。なっている! ということにしておきたい。僕はあんまり賛同者ではないので、「うーん……」というところもなきにしもあらずだけれど。でも、ここまでマッチョな男の中学生思考が全面展開される映画を観たのは久しぶりだった。ここは本当に良かった。ミッキー・ローク演じるツールの店での中身のない会話とか、教会でのシュワちゃんブルース・ウィリス・スタローンが一同に会する場での中身のない会話とか。あの教会のシーンは本当に「なに言ってんの?」という感じがビンビンだった。


アクションシーンは安定した面白さがあったと思う。中盤の「死の飛行」の爆発シーンは面白かった。この映画の悪役って爆発して下に飛び込む、というのを何回も繰り返すよね。島なのに高射砲のない軍事独裁国家、というのはどうかなーと思うけれど。独裁者も単純に悪い人というわけではない感じが良かった。一番悪いCIAの人も『ダークナイト』でマフィアの大ボスをしていた人なので、安定した極悪非道さがあったと思う。でも、相手が悪かったねーとしか言いようがない。アクションについては銃器よりもナイフや格闘のほうが面白かった。特にナイフは良かった。


でも、やっぱり大味だな〜と思わざるをえない。教会でのシュワちゃんの登場シーンと、島国でのサンドラの登場シーンが同じだったのには笑った。ジェイソン・ステイサムのエピソードは良かったけれど、あんまり本筋に関係ないよねと思ったり、依頼者のチャーチがあれっきり出ないのはどうなんだろうと思ったり。アクションも80年代アクションを意識的に踏襲している一方で、やっぱりもうちょっと一皮剥けた感じがほしかった。僕はこの映画を監督するのなら、クエンティン・タランティーノしかいないと思うんだけれどね。大味だから良いと思ったところもあって、一つは島国の独裁国家にしてはの出入りのゆるさ、もう一つはドルフ・ラングレンが「心臓をわずかに外れた」だけで復活して、仲良くなっているところ。この学校でクラブ活動するように傭兵稼業をするという感じは大味だからこそ。


『エクスペンダブルズ2』にはチャック・ノリスが出てきて、ヴァン・ダムが出てきて、シュワちゃんもブルースも銃を握っているという豪華仕様。あれ? ミッキー・ロークが出てないやん。でも、これをシリーズ化したら「ちょっと終わってしまった感がある俳優復権映画」として、「え? この人が出るの? うひゅーヽ(*´∀`)ノ」というものになると思う。