『アルマゲドン』

テレビで鑑賞。実ははじめて。


アルマゲドン [Blu-ray]

アルマゲドン [Blu-ray]


【ストーリー】
石油採掘人が巨大隕石を爆破する。
第一幕:オープニング〜ハリーが宇宙に行くのを決意するまで
第二幕:仲間を集める〜隕石に穴を掘り終えるまで
第三幕:クジ引き〜ラストまで
ベイは言った。「細かけーことはいいんだよ!」と。


【見所】
ベイって本当に悪趣味だな!
下品さと変態趣味がこれでもかと出てくる大味バカ映画。派手な特撮。宇宙にも存在する重力。ブシェミとロシア人。


【感想】
面白かった!


大味バカ映画の傑作。「泣ける」なんてアレな評判だったときは見る気がしなかったけれど、『トランスフォーマー』あたりでマイケル・ベイの悪趣味さや過剰なバカさが周知になってくると、冷静にバカ映画として楽しめるようになったかなと。アイデアもエピソードもとにかく狂ったテンションで続くので、終始ニヤニヤしてしまう。


物語的には宇宙に出るまでの前半で「上手く行ってる感」を出して、宇宙に出てからの後半で「破滅の危機に直面しても頑張る感」を出している。ハリウッドのエンターテイメント系映画としてとても正しい展開をするので、安心して楽しむことができる。これは最近のマイケル・ベイにはない謙虚さが、この頃には少しだけ残っていたのかなと。


とにかく大味。バカ映画。ロシアの宇宙ステーションに乗り込むシーンで、いきなり重力が発生しているのには苦笑しか出なかったけれども、どうせこの映画は隕石に穴を穿つ映画だと割り切っている感があって、その辺りを「気持ちのいい嘘」として成立させている楽しさがあると思う。宇宙ステーションの話なんかなくても良さそうだけれど、たぶんベン・アフレックのチームにもブシェミっぽい奴が必要だと思ったんだろうなぁ。


マイケル・ベイは監督をしながら、明確に悪趣味さをブシェミに託していて、冒頭の「グレースに生理用品の使い方を教えた」という話から、未成年売春ギャグ、核爆弾にまたがって「核を股間に感じたかった」発言など、とにかくこの映画がバカ映画であることを全力アピールしている。ロシア人もとにかく発言が狂っている。「アメリカもロシアも同じ台湾製の機械使ってんだろ」とか面白すぎ。


ただ、あんまりバカ映画すぎるのもどうかと思ったのか、ハリーとAJとグレースの関係で、ちょっと落ち着きを与えている。このバランスが絶妙で「泣ける」という評判に繋がったのかなと思った。AJとグレースのちちくりあいも下品なんだけれど、リブ・タイラーベン・アフレックの2人ならロマンチックに見える。


大味バカ映画だけれど、物語の根幹にかかわる矛盾を作らないところが『プリンセス・トヨトミ』との差だ。重力とか、異常に頑丈な宇宙服とか、いろいろとおかしいところはあるけれど、そこは「細かいこと」なのだ。ブシェミがあの顔で変なセリフを言うたびに、観客も「ま、その程度の映画だよね」と思う工夫もある。映画の嘘とリアリティの関係を研究するには丁度良い題材だと思う。


思った以上に気持ちのよい映画だった。マイケル・ベイにとっても隕石くらいが丁度良い題材だと思う。これが日本軍やトランスフォーマーになると、もうバカさ加減がセーブできなくなっちゃうから。松田聖子も出てるし、オススメ、オススメ、超オススメの作品です。