『釣りバカ日誌18』

テレビで鑑賞。日本最後のプログラムピクチャー。


釣りバカ日誌 大漁箱 (DVD-BOXシリーズ全22作品・28枚組)

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【ストーリー】
浜ちゃんとスーさんが岡山の自然を守る。
第一幕:オープニング〜スーさんの訪問まで
第二幕:スーさんの行方不明〜工事撤回まで
第三幕:宴会〜ラストまで
洗練されて安心感のあるストーリーだと思う。第一幕の展開が第三幕に繋がっているところなど心憎い。


【見所】
西田敏行三国連太郎の掛け合い。プログラムピクチャー的なお約束展開と、岡山の自然。


【感想】
釣りバカ日誌は原作も映画も断片的なことしか知らないけれども、18作目はかなり面白かった。プログラムピクチャーとして描くところは描き、端折るところは端折ることで、物語に勢いがあって良かった。もはやお馴染みの2人組が岡山の浜辺で釣りをしているだけで面白いし、なんの説明もいらないところからくる大胆さや洗練が楽しめた。


浜ちゃんが一度東京に戻るという展開や、スーさんと岡山の大物との面会など、普通ならもう少し詳しく描きそうなところをバッサリと省いて結果だけを次の展開に繋げていくのは、物語を作る側からすると忌避したいところだけれども、それを上手く料理することで面白さにしているのはさすがだと思った。テンポが良いから、今時の感傷的なシーンがほとんどないし、手順を踏んだ物語に見る側も安心して感情移入ができる。


個人的には寺の跡継ぎ問題が、物語の筋にほとんど影響しなかったのは残念だった。檀家が推す男が、実は岡山の大物の家系に連なる人で……みたいな展開かな、とチラッと思ったので。でも、プログラムピクチャーだからこれくらいの単純さでいいのかもしれない。実際、映画を見ていて不満に思うところは一つもなかったわけだし。


ウィキペディアを観ると、18は原点回帰を目指しているらしく、なるほど浜ちゃんとスーさんの2人の物語が中心になっていると思った。脚本は相当洗練されている。この前後の作品の出来は、また違ったものがあるのかもしれないが、プログラムピクチャーとしては文句ない出来だった。もう、こういう万人が楽しめる映画シリーズってできないのかなぁ。難しい世の中になったものだと。