『続・荒野の用心棒』

スカパーで鑑賞。セルジオ・コルブッチ監督。フランコ・ネロ主演。


続 荒野の用心棒 [DVD]

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【ストーリー】
流れ者のジャンゴがジャクソン少佐一味を皆殺しにする。
第一幕:オープニング〜酒場でのジャクソン少佐との戦いまで
第二幕:ジャクソン少佐と40人の子分との戦い〜ウーゴ将軍によるジャンゴのリンチまで
第三幕:ウーゴ将軍の敗死〜ラストまで
物語的には、ジャンゴとジャクソン少佐の因縁が描き切れていないような気がする。


【見所】
オープニングの「ジャンゴ〜♪」の歌と共に、棺桶を引き摺って泥の荒野を歩くジャンゴ。棺桶の中から出てくる機関銃。そして最後の十字架撃ち。フランコ・ネロはそんなに上手い役者ではないけれども、ガラス玉のような眼がならず者ジャンゴの不気味な魅力になっていると思う。


【感想】
題名は有名だけれど、今まで見逃していた映画。話の筋は相当に有名で、ジャンゴという名前や、棺桶の中から機関銃が出てくるシーンはもはやマカロニウエスタンの代名詞と言ってもいいほど。現在の日本では、虚淵玄脚本でニトロプラスのエロゲー『続・殺戮のジャンゴ』の元ネタの一つとして有名かもしれない。続、と名付けられているけれども、『荒野の用心棒』とはなんの関係もないところも語り草。


物語は凄腕のガンマンが寂れた集落にやってきて、二つの勢力の間で大きなことをしようとするが自らも傷付き、やがて最後の決闘に望む……というもの。マカロニウェスタンの代名詞的な作品なので、これ以上ないほどオーソドックスで王道展開をしている。この映画は『荒野の用心棒』とは直接の関係はないものの、やはり映画作りとして『荒野の用心棒』を相当意識している作品であることは間違いないと思う。イーストウッド的な無表情のフランコ・ネロ扮するジャンゴと、対立する二つの勢力は、両方とも『荒野の用心棒』の四割増しくらいにインフレした存在になっている。


やはり、この映画の見所は、ジャンゴの比類ないムチャクチャさにある。ジャクソン少佐率いる40人の男たちとの戦いで、ジャンゴは棺桶の中から機関銃を取りだして戦うが、その西部劇としては明らかに反則な攻撃力が、同時に観客に衝撃をもたらすものだったと思う。今でこそ「棺桶の中には機関銃が」というのはネタバレしているけれども、当時はそれだけで観客のハートを鷲掴みにしたはずだ。映画としてはかなり暴力的なシーンも多く、冒頭のマリアが鞭で打たれるシーンから、ウーゴ将軍によるジャンゴのリンチまで、かなり痛い描写が続く。ジャクソン少佐がメキシコ人ハンティングをする場面とかは、かなり悪役描写として優れていると思った。


演出的には、ジャクソン少佐の手下が赤い覆面を被っているのは、KKKを思わせつつエキストラの節約にもなる良いアイデアだったと思う。最後の十字架撃ちの前に、何度も拳銃を落としながらも準備を整えるジャンゴの描写も良かった。「準備をする」というのは大切な描写だと思う。単純に撃ち殺してしまえばそこで終わるけれども、「準備をする」シーンを描けば、緊張感はそれだけで長続きするわけだから。あと、女たちが泥だらけで喧嘩をするところなど、マカロニウェスタン的な要素がギュッと詰まった映画だと思う。