『HERO』

スカパーで鑑賞。チャン・イーモウ監督。ジェット・リー主演。


英雄 ~HERO~ スペシャルエディション [DVD]

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【ストーリー】
ある剣士が秦王を暗殺しようとする。
第一幕:オープニング〜長空との戦いまで
第二幕:無名が十歩の距離まで近付く〜残剣が天下の字を送るまで
第三幕:秦王が剣を投げる〜ラストまで


【見所】
圧倒的スケール感。中国的な人海戦術で観客を圧倒する映画だと思う。色のコントラストも素晴らしい。


【感想】
荊軻による始皇帝暗殺のエピソードを大胆に脚色している映画。武術の達人たちの妙技をワイヤーアクションで表現しているけれども、これは『グリーン・ディスティニー』と比較すると、かなり様式美に沿ったものになっている。それを圧倒的なスケール感と、場面ごとに色を合わせる演出によって、この物語に浮世離れした魅力を出すことに成功している。


映画は見た目が9割と言うけれど、本当にその通りの映画だと思う。中国的な文化と自然の美、中国的なクンフーアクションの凄まじさ、中国的な思想に満ちたストーリー展開、中国的な人海戦術。それらが組み合わさって、深い余韻を残す物語になっていると思う。チャン・イーモウってこういう大規模動員の映画も撮影できるんだ……と感心した。


物語的には単純な話を、無名と秦王が交互に語ることによって進む。無名が秦王暗殺を放棄するための、もっと明確な演出があってもよかったと思う。この物語は残剣と飛雪と秦王の物語であって、無名は基本的に傍観者の役回りなんだけれど、無名の物語がちょっとでもあれば、物語の完成度は上がったはず。でも、そうなると映画的な余韻が薄まるかもしれないんだぁ……


場面場面ごとに色が変わる演出は、今見ても鮮烈な印象をもたらす。特に秦をイメージしている黒は、秦王の孤独を表現していて良かった。一方、残剣と飛雪の二人の場面でも色が変わるけれども、こちらはそこまで効果的ではなかったような気がする。赤は嫉妬と情念を、青は大義を、白は天下を表しているのかな?


スケールの大きな映画で、見所も盛りだくさんだし、ちょっとビッチっぽいチャン・ツィイーも相変わらずペロペロしたい可愛さだった。