『青い棘』

スカパーで鑑賞。1927年にドイツで起きた「シューテリッツ校の悲劇」を元にしている。


青い棘 [DVD]

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【ストーリー】
愛が成就しない場合、その人を殺して自分も死ぬ、と約束した主人公と友人だったが、主人公は約束を反故にし、友人は約束を守って死ぬ。
第一幕:オープニング〜ヒルデとの一夜まで
第二幕:ヒルデが街に行く〜ハンスとヒルデのベッドインまで
第三幕:犯行声明の執筆〜ラストまで


【見所】
1927年というワイマール体制下のドイツでの、上流階級の若者が味わっている自由な空気。ホモセクシャルで近親相姦的な憎悪も孕んだ性愛描写。


【感想】
エロい。


オープニング、いきなり「自殺サークルが云々」という話が出てきて驚くけれども、主眼は主人公とギュンターとヒルデの兄妹、ギュンターの元恋人で今はヒルデと関係を持っているハンス、ヒルデの友達エリの5人が中心となって話が進む。いわゆる「恐るべき子供たち」タイプの映画で、拳銃を振り回すギュンターにどんどん死相が浮かび上がるところが面白かった。


ギュンターの別荘で行われるパーティーが楽しそうで、第二次世界大戦前のドイツっぽくない雰囲気にビックリするかも。でも、ワイマール共和国は自由主義的な国家だったので、本当にこういう感じだったのだろうなぁと思った。音楽の使い方が上手くて、こういうパーティーで僕も女の子とイチャイチャしたいという気にさせてくれる。映像も映画的な趣のある感じが出ていた。


パウルとギュンターはホモセクシャルの一歩手前で止まっているけれども、ギュンターとハンスは濃厚なホモセクシャルなのは、パウル不能っぽいところが関係しているのかなと思った。パウルは主人公だけれどほとんど傍観者的な立ち位置で、エリとセックスをするけれども、どうにも疎外感があるように描かれている。ギュンターはパーティーの最後にヒルデと近親相姦をしてしまったのだろうか?この映画は性描写は過激だけれど、実際にやったかやってないかについては、かなりボヤけたものになっている。


文芸作品だけあって、物語的な起伏が乏しいのは、好き嫌いが別れるかもしれない。若者の奔放な恋愛と、ホモセクシャル描写に嫌悪感がなければ、ドイツの風土も綺麗だし、出演者も全員美男美女なので、そこそこ楽しめる映画だと思う。