『ウォーリー』

テレビで鑑賞。実は劇場でも観ました。


ウォーリー [Blu-ray]

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【ストーリー】
廃品回収ロボットが宇宙に行って、地球に戻る。
第一幕:オープニング〜イブが植物を発見するまで
第二幕:ウォーリーが宇宙へ行く〜オートが手動になるまで
第三幕:宇宙船が帰還する〜ラストまで
ピクサーの一番凄いところは基本に忠実なシナリオにある。


【見所】
全部。ザ・映画。
第一幕を演出で全て語るパワーは日本映画にも見習う部分が多々あるのでは?


【感想】
なんというか、ヘビー級のハードパンチャーのストレートを食らったような作品だった。ストーリー的には本当に単純な話なのに、ちゃんとテリングすると、ここまで感動できる作品になるのか、という見本のような作品だと思う。ピクサーの本当に凄いところは、CG技術よりも、それを活かし切る強固なストーリーテリングにあって、おそらく映画として気の利いたシナリオで「飾る」部分がなくても楽しませる自信があるからだ。


特に、第一幕のシークエンスは、ウォーリーの孤独と、通じ合える存在と出会えた喜びが、一つもセリフらしいセリフがなくても観客に伝わる最高の演出がなされていると思う。さらに、第一幕の構成が、第三幕で逆転して描かれる部分も良かった。最後に手を繋げあうところで感動、そこから映画史上に残るエンドクレジットに入って号泣した。


演出力が限界突破している作品なので、一つ一つのキャラクターに無駄がないし、宇宙船の乗客の服の色が青から赤になるだけで、その人が人間性を取り戻したことを表現している。登場するロボットの機能も伏線から意外な使われ方をして、物語の展開を助ける働きをしていて、どうすればそういう発想に至るのかと嫉妬を覚えるほどだった。


全部が面白い映画なのだけれど、個人的には船長が出てくるシーンは全て良かった。船長は『ウォーリー』の物語上、かなり難しい立ち位置にいて、服も一人だけ白でなににも染まっていない人間であるわけだけれど、その彼が両足で立ち上がるシーンは、宇宙船で堕落した人間が人間性を取り戻すことを象徴しているシーンだと思う。


そして、エンドクレジットの絵の様式がどんどん進化していくことで人間の発展が語られなおされるところは、これ以上ない終わりかたで強い満足感をもたらしてくれる。全部がオススメ。一つ難点は、これを観てしまうと半端な映画を観るのが辛くなるってことかなぁ。