『トランスポーター2』

日曜洋画劇場で鑑賞。


トランスポーター2 [DVD]

トランスポーター2 [DVD]


B級アクション本舗ヨーロッパ・コープのドル箱作品。主演はジェイソン・ステイサム


【ストーリー】
依頼人の息子が誘拐されたので、運び屋がそれを取り戻そうと奮闘するが、息子の身体にウィルスを注射されて解放されたので、その解毒剤を求めて奮闘する。

  • 1幕目 オープニング〜女殺し屋が車に乗り込む
  • 2幕目 女殺し屋が車に乗り込む〜解毒剤を手に入れる
  • 3幕目 解毒剤を手に入れる〜ラスト

基本、ヨーロッパ・コープのストーリーは3幕目がダメダメなことが多い。


【見所】
この映画の見所は、下着姿で機関銃を乱射する女殺し屋ローラにある。ローラが画面に出てくると話が動くが、ローラが画面に出てこないとなにをやっているのか分からないカーチェイスが延々と続く。病院の場面での機関銃乱射から、主人公がターミネーターキャラであるローラからどうやって息子を守り通すかが鍵になる……と思いきや、息子の誘拐が成功してしまうとローラが出てこなくなって映画が失速してしまう。それはたぶん、ヨーロッパ・コープお得意の「話ひろげすぎ」の悪い癖で、おかげで観客が望む方向性とちょっと違うかたちのアクションが続くことになっている。


【感想】
ストーリーを簡単に要約してみて気付いたのは、前半と後半では主人公を動かす動機が「依頼人の息子」から「解毒剤」へと移り変わっていく。これは90分にも満たない映画にしては、いかにも冗長な筋書きであるように思う。この映画はどうせカーアクションとジェイソン・ステイサムの格闘シーンしかないのだから、もっと本筋を単純に息子の誘拐を阻止しようと女殺し屋の襲撃から逃げまくるみたいな話でよかったのではないだろうか。なんでもかんでも話を大きくすれば良いというものでもないし、終盤はご都合主義とアッサリ解決のアンサンブルになっている。こういうところがヨーロッパ・コープの持ち味でもあるんだけれど。少なくとも、中盤の解毒剤云々の場面って、ジェイソン・パトリックじゃなくてローラと追いかけっこをするべきだったと思う。


ジェイソン・ステイサムはアクションを頑張っていたものの続編の『トランスポーター3』に比べると格闘が荒い。女殺し屋のローラはシナリオのダメダメさの影響を受けて、終盤で簡単に死んでしまうのは惜しいと思った。特に、映画のオープニングが女の子に銃を突き付けられるところからはじまるのだから、ラストはやっぱりローラが銃を突き付けて終わらないといけないんじゃないかと。ボス役の人はトム・クルーズのそっくりさんみたいな感じで、登場シーンの変なチャンバラ以外は良かったと思う。解毒剤を身体に輸血して運ぶって、ムチャクチャな方法を思い浮かぶけれど、話として必要だったのだろうか。カーアクションは馬鹿なアイデアが色々あって面白かった。


個人的には『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』で主役の四人組だったジェイソン・ステイサムジェイソン・パトリックの、キャリアの開きが物悲しい作品だった。ジェイソン・パトリックはもっと頑張ればできる子だと思うんだけれどねぇ。あと、『トランスポーター2』と銘打っておきながらトランスポートするものがあまりないところとか、ジャマイカのタクシー運転手がウザいとか、そもそも依頼人の両親がウザいとか色々あるけれど、下着姿の女殺し屋という新機軸を打ち出したところはリュック・ベッソンの「分かってる」ところが感じられて良かった。