『96時間』

DVDで鑑賞。溜飲の下がる映画とはまさにこれのこと。



リュック・ベッソン製作。僕の中ではB級アクション本舗ヨーロッパ・コープの映画です。主演はリーアム・ニーソン。「旅先で娘が攫われたので、父親が取り返す」という話。これはブルース・リーセガール、そして最近ではウォンビンの『アジョシ』にも通じる破壊神映画の一つ。


とにかくリーアム・ニーソンがプロフェッショナルで強過ぎる。僕が個人的によんでいる破壊神映画の条件「殺人マシーンがムカつく敵を皆殺しにする」という主役を、演技派のリーアム・ニーソンが満遍なく演じ切っている。この主人公がリーアム・ニーソンというのが良くて、娘が誘拐されるまでの可哀想な父親描写で観客に感情移入させることに成功していると思う。破壊神映画は、主人公が最初は可哀想なほど、皆殺しシーンのボルテージが上がるんですよね〜


破壊神映画の重要なポイントとして「主人公が情報を聞き出すために、ムカつく敵を拷問にかける」という描写があることも評価が高いところ。拷問シーンがあるだけで、観客はスカッと爽やかな気持ちになれると再確認した。今作の場合、CIA時代のことを喋りながら電気ショックをかけるという、観客のサディズムを刺激する描写があって、この辺りはヨーロッパ・コープの悪趣味さが(良い方向で)出ていたと思う。


リーアム・ニーソンのアクションってどうなんだ、と思っていたけれど、これが意外や意外でCIA仕込みの殺人格闘術が様になっていて良かった。折ったり、細かく殴ったり、自動車のドアで頭を激しく開け閉めすることで叩いたりと、これはかなり素早い動きで繰り出される。CIAのコネとか道具を使いまくって敵を追い詰めるところも、主人公の殺人マシーンっぽさが表現できていた。いきなりフランスの諜報部員の妻を撃つところとかも、破壊神的に良い。


とにかく男性客の鬱屈した感情がスカッとすることだけを第一に考えている映画なので、細かい雑さは正直あまり感じなかった。俺(と娘)を舐める奴は皆殺しになるべきだ!という明快な主張に酔いしれて、肌をツヤツヤにしたいよねぇという人にオススメ。