『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』

スカパーで鑑賞。


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1999年は稀に見る映画の当たり年で、『マトリックス』『ファイトクラブ』など0年代を象徴する作品が何本も公開された。『ロック・ストック〜』もその中の一本で、ガイ・リッチー監督の映像表現は日本でもフォロワーを生み出して一世を風靡した。その後、ガイ・リッチーはマドンナと結婚したことで精気を全て吸い取られてしまったけれども、離婚したことで復調の兆しが見える。ジェイソン・ステイサムのデビュー作で、他にも若手が色々出ているけれども、誰もあまりパッとしないんだよなぁ……ジェイソン・フレミングも脇役専門の感があるし。


物語は相当複雑そうに見えて、実は「借金が出来たので、金を作る」という、ただそれだけの本筋になっている。この単純さが登場人物やエピソードの多さを支える大黒柱になっていて、方向性を見失わないことにも繋がっている。映画のシナリオ的にも、実はちゃんとした3幕構成になっていて、1幕「借金を作る」、2幕「金を工面する」、3幕「やれやれと胸を撫で下ろす」というオーソドックスな形になっている。1幕目で主要登場人物のほとんどの説明を終わらせているところも上手い。物語はこの本筋の単純さを、大勢の登場人物とスタイリッシュな映像で、107分という2時間に満たない上映時間を保たせている。


登場人物については、キャラの立った顔の役者を集めたことが、かなり功を奏していると思う。その中でキャラが立っていない四人の主役たちが、少しずつ人物像を作り上げるところとかが上手かった。特にソープのナイフについて蕩々と語りだすところとか思わず笑ってしまった。ただ、正直、ジェイソン・ステイサムジェイソン・フレミングはキャラが被りすぎのような気がしたけれども。キャラが立っている面々は、チェスの駒のように動いて、気の利いた台詞を吐いて、そして死んでいくという正しい使われ方をしていると思う。これも評価が高いポイント。


あと、やっぱりソファー少女は探してしまうよね。マリファナ工場での一連のやりとりは面白すぎる。強盗団のボスが暴れたことで、手下が壁を突き抜けて盗聴がばれるところとかも笑った。惜しむらくは映画が死体だらけになる終盤からラストにかけて、もう一つくらい大笑いできるシーンがあれば最高の映画になったかもしれない。もちろん、最後の口に携帯電話をくわえて銃に手を伸ばすシーンは笑えたけれども。