『SPACE BATTLESHIP ヤマト』

テレビでやってたので鑑賞。

SPACE BATTLESHIP ヤマト プレミアム・エディション 【Blu-ray】

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宇多丸のシネマハスラーで『スポーツマン山田』と暗号放送をしたほど、存在自体がTBSに泥を塗った作品。僕はスポーツマン山田評の確認の意味を込めて鑑賞しました。結果、「人的スケールがない」「時間的スケールがない」「監督が最悪」「キムタクをどうにかしろ」の4点はまさにその通りだったなぁ。

特に、終盤にキムタクが言うヤマトクルーの生き残った人数37人(イスカンダル第三艦橋で何人か死んでいる)という数字に唖然。これ、出発時には50人くらいだったということだよねぇ。ちなみにアメリカ軍の空母でさえ5000人以上、昔の戦艦大和でさえ3000人くらいで運航していたのに……


CGは頑張っていると思うけれど、ガミラス星人が全部一緒のポーズで迫ったり、主砲が命中したときのショボさはどうにかしてほしかった。でも、CGはあれが限界だと思ったし、ヤマトのビジュアルそのものは良くできていた……かな。僕の目には。


この映画の一番の問題は演出だと思うんだよね。演出って本当に大切。特にヤマト艦内の描写は本当にショボいの一言に尽きる。こういう映画だと、原作を良く知る人間がお目付役的にチェックをするべきなのに、それがなされた様子がないんだよなぁ。あと、軍隊のない日本では、軍隊描写ができないのがハッキリした。この辺りはもう少し工夫すれば克服できる(アドバイザーを招聘するとかして)と思うが。ちょっとどうかなーと思うのは、ワープしたときに椅子の革ベルトを回すというショボさ。そこはジェットコースターみたいな固定方法にしたほうがいいんでないのと。


一方、波動砲を撃つたびにサングラスをするのは良いと思った。登場人物の演出は最悪。でも、役者陣はキムタク以外は頑張っていたと思う。キムタクもこんな演技で自分のキャリアを傷付けられて大変だよなぁ。


脚本については本当に噴飯もので、まあでもあの監督の技量に相応しいレベルだと思う。とにかく緊張感がなさすぎ。緊張感が保てないのは、おそらく人数的スケールと時間的スケールがないからだと思う。イスカンダルにあれがないかもしれない、という話云々は沖田艦長の独断だったと劇中で描かれているけれど、そこは沖田艦長のカリスマで「それでも宇宙に行く」という理屈を積み上げるべきだったのではないか。この劇中の(観客が納得できる)理屈を描かれないで、「あー」とか「うー」とか言えばそれっぽく劇中の登場人物が納得するという描写は本当にやめてほしい。


ガミラス星人云々のところは悪くないと思う。それでも、ガミラス星の重要部分が簡単に爆破されるのはちょっとどうかな。竹中半兵衛稲葉山城よろしく、9人で攻略できてしまう星というのも訳分からんし、ラストの行く行かないのどうでもいい話が延々続くところとかもくだらない。


個人的には、せめて今の10倍、できれば100倍の人的規模を出せていれば、相当な良作になったと思う。