『カサブランカ』

シネフィルで鑑賞。

カサブランカ [Blu-ray]

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第二次世界大戦中に連合軍のプロパガンダ映画として作られたのだけれど、今観ると、プロパガンダ色が薄れて純粋にラブロマンスとして楽しめる(当時から、これをプロパガンダ的に観る人は少なかっただろうけれど)。主演はハンフリー・ボガートイングリット・バーグマン。観る前は「どうかなー」と思っていたけれども、冒頭のカサブランカの街並みの描写からグッと引き込まれた。そこから続くサスペンスとラブロマンスは、まさに時代を超越した傑作だと思う。

カジノバーを経営者リックを演じるハンフリー・ボガートの格好良さと、イングリット・バーグマンの絶世の美しさがこの映画の半分の魅力になっている。映画の筋書き自体は「かつて捨てられた女を取り戻そうとする男の話」で、何千回も繰り返された様式なんだけれども、ここにボガートの超絶洗練された格好良さと、バーグマンの美しさが組み合わさるだけで、ちゃんと映画としての持続力が保たれている。でも、それだけではなく、二人を取り巻くカサブランカの人々を魅力的に描くことで、本筋の単純さに重厚さを与えることに成功していると思う。

ルノー署長とか、現在の踊る大捜査線あたりにも通じる「いい加減なフランスの警察署長」だし、フェラーリやシュトラッサー少佐、サム、スリの人、あとシュトラッサー少佐が空港に到着したときに彼に延々話しかける人とか、あらゆるところが面白かった。