『なぜ日本人だけが喜んで生卵を食べるのか』

なぜ日本人だけが喜んで生卵を食べるのか (ワニブックスPLUS新書)

なぜ日本人だけが喜んで生卵を食べるのか (ワニブックスPLUS新書)

僕は料理の文化的な側面に興味があって、作物の最終加工点である「料理」を無視して農業や食糧自給率のことを語ることはできないと思っている。というのも、TPPの前に苦境に立たされていると言われる農業も、低い食糧自給率も、結局は食べるものの種類が豊富であれば解決できるものだからだ。逆に、江戸時代のように農業生産物が米に特化されてしまうと気候の変動や社会状況によって容易に飢饉が起きてしまう。食べられるものを、どうやって美味しく食べるか、という問題について、僕たちはもっと真剣に考えるべきだと思う。そうすることによって、沢山の問題解決の糸口が見えてくるのではないだろうか。
というわけで、『なぜ日本人だけが喜んで生卵を食べるのか』を買いました。表題は卵ご飯についての話のようで、実際は日本食について幅広く語られている。視点としては、日本人が食べる日本食の変化と、外国人がどうやって日本食を受け入れたかの二つ。語り口は軽妙なものの、新書としては少し軽妙すぎるような気がした。何かを学ぶために読むのではなく、息抜きのために読むエッセイといった趣か。語られていることは初歩的なものがほとんどだが、データを提示した上で語っているところは良いと思った。