『007 ゴールドフィンガー』

007の中では傑作と語り継がれる『ゴールドフィンガー』は、その魅力のほとんどがオープニングのテーマ曲の金に彩られた映像に負うところが大きいような気がする。話としては、謎のイギリス人宝石商ゴールドフィンガーアメリカ政府が金塊を備蓄する銀行に原爆を仕掛けるのを、ジェームス・ボンドが阻止するというもの。これを『グランドスラム作戦』と劇中では言ってたけれども、僕はクリストファー・リーブス版の映画『スーパーマン』でレックス・ルーサーが計画した、「新西海岸作戦」と双璧を成す映画史上のバカ作戦だと思う。でも、ゴールドフィンガーが自分が持つ金塊の価値を十倍にするため、米国政府の金塊を全て使えなくするという陰謀は面白い。金の価値が高騰し、福島原発が爆発した今、『カジノ・ロワイアル』に続くリニューアル作品としてはこれが一番パンチ力がありそうだ。
悪役のゴールドフィンガーが、ただのデブのおっさんというのがこの映画の一番の難点か。女を殺すときは金粉を塗りたくって窒息死させるという変態ギミックが、最初以外でちっとも活かされなかったのが痛い。ゴールドフィンガーの金の密貿易の方法が、ロールスロイスを黄金で作ってスイスまで空輸するというのが面白い。あと、後のシリーズにも踏襲される怪物キャラとしての「よろず屋」も良い味出していた。ボンドが投げた金塊を胸で弾き返すってどんだけやねんという感じ。どんだけやねんと言えば、007の「女相手なら無敵」描写も凄い。馬小屋でレイプ同然に襲って籠絡させるほどだから。
見所は、プッシーさんの飛行部隊の女の子たちかなぁ。みんな可愛い。それとアメリカが舞台なのも一味違った感じで面白かった。あと、ボンドのお仲間の二人の諜報員はどこで計画を知ったのだろう?? マフィアのボスはぺしゃんこになってるはずだし……プッシーが教えたのかなぁ。