『バットマン・ビギンズ』

バットマン ビギンズ 特別版 [DVD]

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クリストファー・ノーランによるバットマンのリニューアル一作目。基本的なあらすじは『バットマン・イヤーワン』をベースに、バットマン誕生とゴッサムシティを滅ぼそうとする影の軍団との戦いを描く……という内容。悪役はスケアクロウラーズ・アル・グール。シュワ知事がミスター・フリーズを演じた『バットマン・ロビン』によって、ティム・バートン版から続いていたバットマンシリーズは一旦崩壊。で、仕切り直しでワーナー・ブラザーズの重役連中に長々と「俺がバットマンを撮影する!」と説得したクリストファー・ノーランが監督になったのが今作になる。特色としては重厚、リアル、地味の三点セットで、面白いかと言われれば難しい部分もあるけれども、次作『ダークナイト』の布石として考えれば満点評価も可能ではないかと思う。
欠点としては、とにかく敵がショボイの一言に尽きる。これはバットマンの誕生話なので仕方ないのかも知れない。スケアクロウとか全然バットマンと戦っていないし、ラーズ・アル・グールに至っては影武者扱いだった。ファルコーニなんてのもいたけれど、なんだかんだでファルコーニが一番悪役として魅力的だったかな。バットマンも手探り状態で敵と戦っているという感じ。もうちょっとブルースのいけ好かないセレブ描写を見せたほうが楽しめたかもしれない。それと結局のところ、スラム街の島は放置されているんだけれど、あれは『ダークナイト』ではないことにされていたなぁ。
クリストファー・ノーランはこの作品以降、監督として劇的に成長を遂げるので見ておいて損はないかと思う。