『ソーシャルネットワーク』

利用者5億人とも言われるSNS「フェイスブック」、それを立ち上げたザッカーバーグのサクセスストーリー。ネット企業の雄となったフェイスブックがどういう経緯で爆発的な人気を博したのかが良く分かる。
でも、サクセスに全く見えないところがミソ。この映画におけるザッカーバーグは徹底して他人の理解を超えた存在として描かれ、少しも幸せそうに見えない。フェイスブックに対する執着はスゴイが、一体何をしたいのかが分からない。まるでフェイスブックに囚われている囚人のようだ。そして、この映画に描かれるザッカーバーグには「目的」がない。
ものすごい速さで繰り広げられる会話には、方法と過程を論じる言葉が山のようにでてくるけれども、目的を語る言葉が一つもない。目的に近付こうとすると、誰もがそのポイントをはぐらかす。ザッカーバーグは大学クラブに入りたいみたいだが、なぜなのか、その「目的」が皆目分からない。発案者の兄弟を出し抜いたことも、友人を裏切ったことも、何が目的だったのかが見えない。まさに神のみぞ知るというわけだ。
で、この物語が「神話」を描いたものだと終盤示されるわけだけれども、ザッカーバーグもやがて「人」になっていくのかなぁと思わせる終わりかたが良かった。

久々に見ていて辛いと思わせる映画だった。
日本とはあまりに世界が違うくて。