妖撃隊の話とか(1)

『妖撃隊』というと、今はなき日本テレネットの伝説的なPCゲームで、僕が高校生の頃に発売されてアホのようにプレイしまくった記憶があります。内容は、邪神を復活させようとする闇の勢力と、妖撃隊という超能力者集団との戦いを描いていて、プレイヤーは隊長となって隊員たちを働かせます。隊員たちはそれぞれスキルを持っていて、それが邪教の秘密アジトとかを探索する際に役に立ったり、役に立たなかったりするのですが、この辺りはテーブルトークRPGを彷彿とさせます。ただ、コンピューターゲームだとスキル判定が何回でも出来てしまうので、あまり成功しているとは思えないものの、思想は面白いです。あと、バグが多い、システムが不完全、ストーリーが不完全燃焼と、欠点が多いのも事実。だけど、良いゲームであることに変わりはありません。僕がプログラミングの勉強をしているのも、これをリメイクしたいからに他なりません。



【妖撃隊、今だったら……】

1.『探索マップ』をなくす
テーブルトークRPGとコンピューターRPGの差は「繰り返し」が許されるか許されないかにあると思います。鍵が掛かった扉があった場合、テーブルトークなら一回の判定以上のことはしないですが、コンピューターであれば何回でも解錠を繰り返すことができます。さらに、ネックとなるのが戦闘で、ここでも呪壁防護陣を唱えて、オートで『禅』を使いまくるとかいう方法がとられがちです。なので、思い切って『探索マップ』をなくします。厳密に言うと、探索班の仕事を簡略化して、結果のみプレーヤーに報告するといった感じがいいかと思います。

であるとするならば、オリジナルにおいて比重を占めていた戦闘をどうするか。リメイク案では戦闘フェイズは存在しません。実際には探索中に狂信者や妖魔との戦いはつねに行われているのですが、自動的に処理されます。探索班は一日を単位に探索していきますが、規定時間(18時〜1時)を過ぎるか、敵との戦闘に負けるか、イベント(解錠・罠解除などなど)に失敗すると、その日の探索を終了して「撤退」となります。時間のすすみ方については、30分を最小単位にして一つランダムイベントが起きるというシステムになります。また、解決度が設定されていて、探索するほどに解決度が高まり、ある一定のところで特定イベントが起きます。プレイヤーはそれらを探索班からの「報告」という形で受け取ります。また、事件は「解決度」によって妖撃隊の功績値が上下します。単に事件を解決しただけでは低い功績値しか得られませんが、諜報や鑑識によって隠された事実が明らかになったりすると高い功績値が得られるようになります。

さらに重要な点として、探索マップと戦闘フェイズがなくなることにより、超能力にも大幅な変更が行われるということです。妖撃隊の隊員はいずれも超能力者(ゲームでは妖撃能力保持者)ですが、「禅」や「心頭滅却」を使いまくることで、キャラクターに違いが出づらくなるという難点がありました。また、超能力自体、何の役に立つのかわからないものがほとんどでした。そこで、思い切って「超能力」をスキル化します。戦闘に影響を与える「破魔(攻撃)」「気功(防御)」と、探索に影響を与える「ESP」の三つと、キャラごとのスペシャルスキル(イタコは「口寄せ」で諜報するとか)のみとします。



2.「功績値」と「予算」
リメイク案での重要な要素に「功績値」と「予算」があります。オリジナルでは、超法規的組織『妖撃隊』が有用であるか否かの判断は一応ありましたが、数値が隠されているためあまり機能しているとはいえませんでした。そこで、リメイク案では事件を解決するごとに「功績値」が与えられるようにします。プレイヤーは事件解決で得られた「功績値」を『部隊認知度』『市政貢献度』『政治的影響力』という値に振り分けていきます。この三つの値は上限100%で、日にちが過ぎるほどに下降していく傾向にあります(イベントや特定の行動によっても上下します)。プレイヤーは組織を運営する上で重要な、この三つの要素を確保していく必要があるのです。

まず、『部隊認知度』は超法規的組織である妖撃隊がどれだけ認知されているかです。この値が高ければ、有能な隊員が集まりやすくなり、諜報で高い効果が期待できます。ですが、部隊認知度が上がるということは敵対グループにも存在が知れ渡るわけで、妖撃隊を狙った攻撃も激しさを増していきます。『部隊認知度』が高いと、『市政貢献度』の低下率が鈍くなるというオマケもあります。
『市政貢献度』は超法規的組織である妖撃隊が、どれだけ役に立っているかについてです。これが低いと月に一度の監査によって、妖撃隊の解散(つまりゲームオーバーになる)確率が高まります。三つの値の中で、市政貢献度は何もしなければすぐに下がっていく傾向にあり、プレイヤーはこの値の維持に苦労することでしょう。また、市政貢献度によって、月ごとの「予算」が決定されます。
『政治的影響力』は妖撃隊がどれだけ超法規的に行動できるかについてです。これが低いと銃刀法に違反する武器(刃物や銃火器)の所持や違法行為に制限が掛かり、探索に深刻な悪影響をもたらします。また、政治的影響力は警察組織や市政・市議会などとの協力が得られるかどうかにも影響を与えます。例えば、事件ごとの「警察の協力を得られるかどうか」のチェックや、市の有力者(企業)からの情報提供・資金援助・技術援助などの発生率が上下します。また、『政治的影響力』が強いと『市政貢献度』の低下率が鈍くなります。

オリジナルと大きく異なる要素としてリメイク案では「予算」の概念を導入します。予算には「組織運営費」「隊員への給与」「雑費」の三つの要素があります。まず、毎月『市政貢献度』によって得られた予算を「組織運営費」と「給与」に割り当てます。「組織運営費」は妖撃隊が組織として行動するための金です。これは組織の規模によって何段階かに変化しますが、月々で変動はしません。この「組織運営費」が足らなくなると妖撃隊は活動不能状態になりゲームオーバーになります(滅多に起こりえないでしょうが)。次に「隊員への給与」ですが、これは予算から組織運営費を引いた残りのお金で配分します。基本的に「能力の高い隊員=高額」となります。この給与が支払えなくなると、隊員たちを解雇することになります。予算から「組織運営費」と「給与」を引いた残りが「雑費」になります。この雑費で武器を購入(リメイク案では、銃火器の「開発」はできません)や、装備の充実、さらには諜報や研究にかかわる金(これは固定)を捻出します。



3.『諜報班』『鑑識班』の比重を上げる
『妖撃隊』ではあまり意味がなかった「諜報」と「鑑識」ですが、探索マップがなくなるリメイク版ではダイレクトに探索の正否に関わる要素になります。探索班は諜報班の情報を元に行動をするので、十分な諜報がなされていない場合、重要な情報やアイテムを見落としたり、罠やトリックが見抜けず被害を被ったりします。また、諜報班の重要な仕事として、謎の多い敵対グループや市内の調査をするといういうことがあります。リメイク案では、イベントは「狂信者が廃ビルを占拠した」などの自動的に発生するものと、調査の結果「どこそこに狂信者のアジトがありそうだ」「どこそこに伝説の退魔剣があるらしい」などの能動的に発生するもの、それと特殊(キャラごとのイベントや、特定の条件を満たした場合に発生するイベント)なものの3つに分かれます。リメイクでは敵対グループは複数存在し、妖撃隊はどこに諜報の力点を入れるかを考える必要が出てきます。
また、諜報もスキルが大きく関わります。社会的に認められているスキル「芸能人」や「刑事」は諜報に上方修正が入り、社会的に認められていないスキル「学生」「武道家」「犯罪者」などには下方修正が入ります。ですが、事件によっては「学生」でなければ重要な情報が得られないことや、専門知識が必要になることもあります。また、「探偵」や「忍者」や「ジャーナリスト」などのスキルを持っているキャラは諜報を楽に進めることができるでしょう。さらに、敵対グループの諜報などに対して「敵対」スキルを持っているキャラは、諜報では下方修正が入ります(その代わり、敵対スキルは探索時には上方修正が入ります)。また、『妖撃隊』そのものの「部隊認知度」によっても諜報は影響を受けます。

『鑑識班』の仕事は、大きく「重要アイテムの鑑定」と「探索班のサポート」の2つに分けます。「重要アイテムの鑑定」は『妖撃隊』のそれと同じですが、リメイク案では「重要」か「重要でない」かは鑑定してみないと分からない、というスタンスを取るので、アイテム数も一気に倍増します。また、探索班が探索で拾ってくるものは「古びた剣」とか「奇妙な道具」という風に、鑑定班が鑑定をしないと正体が分かりません。「探索班のサポート」は探索班が仕入れた情報を元に、事件解決に役立つ助言を行います。これによって、例えば開かなかった扉の解錠に上方修正が入ったり、隠し扉の発見や敵との遭遇率の低下、功績値の上昇などの効果が期待できます。



4.『開発班』について
オリジナルの『開発班』の仕事は、ゲームをする上で大きな楽しみの一つでしたが、洗練されているとは言えませんでした。そもそも「研究」と「開発」の概念が混乱しているように思えます。また、オリジナルでは量産化が図られたアイテムは無制限に持つことができるので、多彩な武器の意味を見出すことができないという問題もありました(銃ならライアットをみんなに装備させるとか)。リメイク案では『開発班』は『研究班』に名称を変え、その主な目的を「青写真開発」「前衛ドクトリン」「組織ドクトリン」の三つに分け、量産化という概念を放棄します。

「青写真開発」はオリジナルでいうところの「開発」に相当します。この研究を行う隊員は、「武器」「呪具」「防具」「アイテム」のどれかを重点的に開発するかを選択します。ここで重要になってくるのは、隊員ごとのスキルによって得手不得手があるということです。『薬学』スキルを持っていない隊員が強力な回復薬を作るのは難しいですし、『戦闘』スキルのない隊員が武器や武具を作るのもまた同じです。また、「武器」の開発では基本的に銃火器類は開発できません(武器商人から購入する必要があります)。「青写真開発」はあくまで新たなアイテムを出現させるだけで、それを製品化して装備するには予算が必要になります。
「前衛ドクトリン」は武装した狂信者や凶悪な妖魔と戦うときに効果的な「戦術」や、探索の助けになる「方法論」などを研究します。リメイク案では『探索マップ』は存在しませんが、探索中の戦闘は自動的に処理されるだけで、実際に行われています。また、謎に対してはスキルチェックが常に行われます。「前衛ドクトリン」はそれらに修正を与え、若干ながらも探索を楽にすることでしょう。
「組織ドクトリン」は妖撃隊を効率的に運営していくための方法論を研究します。情報の一元化や後方支援の拡充、諜報体制・医療体制の充実、広報などです。これらは隊員たちが持つスペシャルスキルによって研究内容が選ばれます。組織ドクトリンを研究することで、妖撃隊の運営がやりやすくなるでしょう。



5.アイテムについて
『探索マップ』や戦闘フェイズが存在しないのに、アイテムが必要なのかとも思いますが、リメイク案でもアイテムは残すことにします。
アイテムについては大きく「装備アイテム」と「消耗品」とに分かれ、探索(と自動的に処理される戦闘)の正否に修正を加えます。「装備アイテム」はオリジナルとあまり変わりませんが、より数値的なものになるでしょう。一度の探索で失われることは(イベントを外せば)ないでしょうが、ほとんどの装備アイテムには「耐久値」が設定されているので、いつかは壊れてしまいます。狂信者や妖魔の巣に手ぶらで入るのは死を意味するので、できるかぎり万全の態勢で臨みたいものです。
「消耗品」はオリジナルでいうところのトランキライザーや絆創膏に当たるものです。オリジナルでは装備とアイテムは別々でしたが、リメイク案では装備の中に消耗品の項目を作ります。消耗品は一日の探索で全て使い切ってしまうので、その都度補充が必要になってきます(つまり金が掛かります)。また、オリジナルでいうところもナパーム弾やサイコスプレッド、呪符なども消耗品に含まれます。



6.キャラクター
妖撃隊の魅力の一つにキャラクターが挙げられると思いますが、これも他のシステム同様練り込みが必要であると思います。
まず、色々あった基本能力値を「探索力」に一本化します。「探索力」は探索を行う上で必要な「体力」や「精神力」などなどの集合であり、イベントによって減っていき、これが0になると「撤退」になります(戦闘で0になると「負傷度チェック」が行われます)。探索力はキャラクターによって大小があり、スキルによっても変化します(事件によっては「○○恐怖症」があるキャラクターは探索力が下がるなどのペナルティがあります)。基本能力値を一つに纏める理由としては、「システムの簡略化」「スキルシステムへの一元化」「そもそも必要ない」などが上げられるでしょう。
スキルについてはオリジナルを踏襲します。通常スキル「基本スキル」「戦闘スキル」「超能力スキル」「その他」の15種類(超能力スキルの「召還」と「呪符」がなくなり、新たに「ESP」が加わります)とスペシャルスキルです。オリジナルではスペシャルスキルはそこまで役に立ちませんでしたが、リメイク案では役割が大きくなります。スペシャルスキルには大きく「職業」「性格」「○○恐怖症」「敵対」「友好」「その他」に分かれ、「職業」と「性格」は全てのキャラクターが持つことになります。
通常スキルはキャラクターごとの経験値に応じてレベルを上げることができます。経験値は探索に出ることで得られますが、他にも余暇に「修行」を行うことでも得られます。また、イベントを解決するのにどのスキルを使用したかでレベルが上昇することもあります。スペシャルスキルについては、「○○恐怖症」以外に変動はしませんし、レベルもありませんが、イベントの解決や成功率の修正など全てに影響を与えるでしょう。



7.敵対集団
オリジナルでは妖撃隊の敵は狂信者グループのみでしたが、リメイク案では大きく「カルト宗教」「犯罪組織」「第四帝国」「秘密結社」の四つに分けます。妖撃隊は諜報班がそれぞれどこに諜報の力点を置くかによって、イベントが進行していきます。敵対集団は『勢力』という値を持っていて、これが極限にまで到達すると、彼らが求める世界の終末が到来してしまいます。

「カルト宗教」はオリジナルで言うところの『星の智慧教会』に相当します。目的は「邪神復活」で、そのために様々な策謀を張り巡らします。狂信的な教義で市内に勢力を広げ、武装した狂信者や超能力者を多く抱えます。妖撃隊の主要な敵と言えるでしょう。
「犯罪組織」はいわゆる暴力団やマフィアといった闇の勢力ことです。目的は「お金儲け」で世界の破滅などではないのですが、非合法的な手段に長けているため、間接的に他の敵対グループを援助しているかたちになります。また、秩序崩壊後の利権を求めているという噂もあります。本来は妖撃隊が戦う相手ではないのですが、ことの成り行き次第では戦うことになります。
「第四帝国」はナチスドイツの残党が結成した組織です。目的は「異世界に逃れたヒトラーの復活」で、そのために西城市の霊的な場に注目しています。第四帝国は良く組織された軍隊であり、強力な武器と世代を超越した科学力を有していますが、組織力は小規模です。
「秘密結社」は隠された知識を持つ者たちにより、世界の混乱と破壊をもたらすために結成されました。目的は「宇宙人の召還」で、魔王星の到来を宇宙人によるシグナルであると解釈しています。実際のところは謎ですが、彼らの持つ知識によって「何か」が召還されることは十分に考えられることです。

ゲームのクリア条件は1999年12月31日までに敵対集団を壊滅させるか、もしくは「犯罪組織」を除く各組織の目的を頓挫させることです。また、「カルト宗教」「第四帝国」「秘密結社」はそれぞれ勢力拡大のために暗闘を繰り広げているという設定があります。これによって、どれか一つの勢力が急激に拡大することは防がれているのですが、世紀末が近づくほどに各組織の活動は活発化していきます。
妖撃隊は敵対集団の動向を見極めながら、叩くべき時に叩くという行動が求められるでしょう。



8.武器の購入
妖撃隊は強力な銃火器を「武器商人」から購入することができます。もちろん違法であるので、購入するごとに『市政貢献度』が下がりますし、武器自体も安いものではありません。また、武器商人は「犯罪組織」に属しているので、彼らから武器を購入することは「犯罪組織」の勢力が増大することになります。しかし、法治国家である日本で武器を入手するためには、非合法な手段に頼らざるをえず、また威力の高い武器をそろえることは探索の正否に直接関わるので、仕方がないことであるかもしてません。



9.隊長の役割
オリジナルではプレイヤーの分身である妖撃隊隊長には、隊員のスケジュールの割り振り役以外の仕事がありませんでしたが、リメイク案では一日の最初に独自の行動を選択する必要があります。大きく「市長訪問」「議会対策」「広報活動」「武器購入」「単独行動」の五つです。
「市長訪問」は『市政貢献度』を、「議会対策」は『政治影響力』を微上昇させる効果がありますが、地位の高い人間は身分相応に忙しいので、会ってくれないこともあります。「広報活動」は西城市で積極的なPRをすることで『部隊認知度』が微上昇します。「武器購入」は武器商人から銃火器などの調達をします。「単独行動」は、これを選択することによってランダムイベントが発生します。また、それぞれの選択をすることで新たなイベントが発生することもあります。


10.フローチャート
【1日】
 会議(各班の大まかな状況報告、事件の発生、トピックスなど)
  ↓
 隊長行動選択
  ↓
 隊員行動選択
  ↓
 諜報班行動報告
  ↓
 鑑識班行動報告
  ↓
 探索班行動報告
  ↓
 次の日へ 



今日はこの辺で(考えてたら止まらなくなってきたので)