『チェ 28歳の革命』

ソダーバーグとデルトロのネームバリューだけで全国上映するのは無謀だと思う。ほうぼうで特集が組まれているけれども、それとて宣伝になるかどうか。チェ・ゲバラに対する日本人の理解って皆無に近いんではないかなぁ……というわけで、観る前にぜひ『やる夫・チェ・ゲバラが革命を起こすようです』をチェックして、事前勉強したほうがいい。とりあえずキューバ上陸からエル・ウベロ駐屯所までの流れが良く分かるので。
映画としては非常に良くできている。ソダーバーグは職人的な映画監督で、ある物語をどういう角度で撮ればいいかを良く知っている。国連での演説は、後編への前触れになっているのだろうか。キューバ革命を巡る諸国(アメリカ人)の反応がモノトーンの映像で淡々と描かれる。一方、キューバ革命はフルカラーでゲリラの戦争が描かれる。極貧のキューバ農民の助けを借りながら、キューバの山々を転戦するゲバラたちの苦難は想像を絶するものだ。しかも、ゲバラは喘息持ちだし、よくもまあ死ななかったものだと。物語はハッピーエンドで終わるけれど、後編で描かれるゲバラの死についての予感も漂う。理想と現実の乖離とかを描くのが上手い。