映画系雑誌

B級映画も大作映画も同列に論じるこの雑誌の面白いところは、それだけにB級の隠れた名作を発掘しやすいというところにあると思う。エロ・グロ・ナンセンスを好むにしては、アメリカ人の大虐殺は笑っても、中国人の大虐殺は笑わないところはあるけれど、それ以外はレベルが高い。『龍が如く』の映画版が紹介されていて、これがまた面白そうだった。キワモノ系を取り上げる姿勢と熱意と力量は誰にも負けないが、ハリウッドのブロックバスター系に関しては妙に辛いのも特徴。でも、面白そうなホラーとかがいち早く紹介されるからついつい読んでしまうんだよな〜。今号の見所は、キワモノ中のキワモノ『スネーク・フライト』の特集は必見(たぶん僕は見ないだろうけれど)。後は特集のアングラっぽさと、『スケバン刑事』なんてダメ映画を(ダメと知りつつ)リスペクトするのを止めれば、映画雑誌としては無敵だと思うのだが。

  • CUT

棲み分けが進む映画雑誌の中で『CUT』の立ち位置は、「上品な映画秘宝」に尽きるんじゃないかと、まあそういうことを思った。今号は、巻頭のセクシー写真集から、アメリカの馬鹿コメディまで、洗練された映画秘宝魂が垣間見えるようだ。特にアメリカの馬鹿コメディは、この路線を紹介するのが映画秘宝くらいなものだったので、CUT誌による新規殴り込みの感がある。『カポーティ』の記事は読み応えもあってなかなか良かった。ゴシップやヨイショ記事を廃して、このまま良質な特集路線で進めば、第二の『プレミア』になれるかもしれない。

ネタがないときの定番『世界の大学ランキング』は未読。個人的には何の見所もなかったが、フランスの凱旋門賞の記事だけは詳しく読んだ。ディープインパクトは大舞台に弱いような気がするので、あまり過度の期待は禁物だと思うけれども、期待が膨らむのは仕方がない。まあ、でも(五馬身差くらいで)勝てるんじゃないかなと予想。チェチェンでは内戦が終わって、独裁者による恐怖政治が始まっているらしい。人権を抑制する国家は、自らの矛盾に耐え切れずに沈むのではないかと思うものの、そう話は簡単ではないから困る。抑圧を好み、自由を憎む一般人も多く、そういう人たちの血が混乱を招いている。そういう点では、アメリカもテロリストであっても人権を守ったほうがいいんじゃないかと思う。