『ジャッカルの日』

アルジェリアの分離独立に反対するフランスの極右グループが、ド・ゴール暗殺を狙って超一流の殺し屋「ジャッカル」を雇う。ちょっと海外小説に詳しければ誰だって知っている筋書きですね。ド・ゴール番記者だった経歴を持つフレデリック・フォーサイスが、現実とフィクションの狭間を縫うように展開させる、傑作犯罪小説なのですが……しかし、僕は映画のほうが好きだったりします。面白いのは一匹狼で手段を選ばないジャッカルと、組織でもって手段を選ばないフランス警察の息詰まる攻防でしょう。わずかな手掛かりから、敵を割り出し暗殺を阻止しようとするのは、今流行のミサイル防衛よりも難しい。実際、フランス警察の必死の努力にも関わらず、暗殺は後一歩のところで「運」によって失敗してしまいますが、あれがなければどうなっていただろうと(小説でのことなのに)思ってしまいます。とにかく必読。映画も必見です。

ジャッカルの日 (角川文庫)

ジャッカルの日 (角川文庫)