『フィールド・オブ・ドリームス』

スカパーで鑑賞。


フィールド・オブ・ドリームス [DVD]

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【ストーリー】
「それを作れば、彼は来る」
トウモロコシ農家の男が、謎の声に導かれて野球場を作ると、伝説の名選手たちが現れる。


【見所】
野球のシーンを観るだけで、ボロボロと涙が溢れる。


【感想】
個人的に最強の泣き映画。そんなに野球自体に思い入れがないのに、『フィールド・オブ・ドリームス』は観ているだけで号泣してしまう。


多分、泣きポイントがいちいちヒットするのだろうなぁ。トウモロコシ畑に野球場を作るというビジュアルが素晴らしすぎるし、そこから死んだはずの名選手たちが全盛期の姿で現れるというのも泣ける。また、僕は贖罪の物語にどうにも弱くて、ラストの父親とのキャッチボールも泣けるし、野球場を目指して数え切れないほどの自動車がやってくるラストも泣ける。僕にとっては泣ける要素しかない映画だ。


また、野球場を眺めるケビン・コスナーが良かった。ケビン・コスナーって抑揚の効いた演技のときが一番魅力的だと思う。最近の作品で言えば『マン・オブ・スチール』の父親役でもそうだったけれども、たたずむ姿に品がある。動くと途端に演技が軽くなってしまうのだけれど、『フィールド・オブ・ドリームス』の場合は、野球場を観るシーンが魅力のほとんどなのが功を奏している。


作家テレンス・マン(原作では、サリンジャー)がアメリカと野球について語る言葉、「アメリカは壊しては新しく建てる国だが、野球だけは古くから持ちこたえて、人々を善に導く力がある」という言葉に、アメリカ人が野球に抱く憧憬が伝わってくるようだった。ストーリーは、とんとん拍子にご都合主義の展開が続くけれども、テレンス・マンや主人公の娘の言葉があるからこそ、物語がすべて必然であるという納得が観客に与えられる。もちろん、日本人には、そういう憧憬がアメリカ人に比べて薄いので、納得できない人も当然いるだろうけれど。


でも、根本的なところで、子供の頃の夢の実現や、失われた贖罪の機会の復活は、普遍的なもので、そこに僕たちは感動するのだと思う。「ここは天国か?」とシューレース・ジョーや主人公の父親が訊いて、「アイオワだ」と主人公が答えるやりとりに、夢は現実にあるものだということを痛感させられた。