『ウォリアーズ』

スカパーで鑑賞。


ウォリアーズ [DVD]

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【ストーリー】
ニューヨーク中のストリートギャングが集まる集会で、カリスマ指導者のサイラスが暗殺されてしまう。濡れ衣を着せられた弱小ギャングの『ウォーリア−ズ』は、他のギャングや警官の包囲網を抜け出して、縄張りのコニーアイランドを目指す。


【見所】
やばそうな人たち。


【感想】
むか〜し、テレビで何度か観ていたので、ストーリーはだいたい覚えていたけれども、改めて観てもやっぱり面白い。物語は物凄く単純で、濡れ衣を着せられた男たちが、大勢の敵に狙われてしまい、ひたすら逃げまわるというもの。『アポカリプト』とか『哀しき獣』とか、手を変え品を変え何度も語られているのは、それが物語の原型の一つだからだと思う。で、こういう映画の場合、重用なのはストーリーテリングのほうになる。


監督は暴力映画に定評があるウォルター・ヒル。最近ではスタローンと組んだ『バレット』の監督なんかしていて、いまだ健在という感がある。この映画の監督をするのと同時に、『エイリアン』の製作も手掛けていて、そちらのほうでも有名だったりするけれども、僕が子供のころに観たアクション映画の監督というイメージがやっぱり強い。


この映画の見所は、やっぱり次から次に出てくる珍妙なストリートギャングたちだと思うんだよね。オープニングのブロンクスに集うストリートギャングの、これから不穏なことが起きるという盛り上げ感は異常。とくに、ニューヨークヤンキーズのユニフォームに顔をペイントした『フューリーズ』とか! バットを持ってウォーリア−ズを追い掛けるシーンは超怖いものがある。あと、地下鉄の落書きとか。1979年に公開された映画だけれど、最初観た人たちはカルチャーショックを受けたと思う。


アクションは昔の映画だけあって大味なんだけれども、ストリートギャングの強烈なビジュアルで上手く誤魔化せている。あと、ストリートギャングだけでなく警察も追い掛けるのも描き方として上手かった。そこの目配せがあると、ぐっとリアリティが出てくるよね。節目節目に出てくるラジオDJも格好良かったと思う。DJがかける楽曲が、ウォーリアーズの状況を物語っているのも良かった。


不満点は、一番悪い奴がショボイこと。これは、コニーアイランドに着いたウォリアーズの面々が、男として一回り成長してしまったからこその、「相手にならない」感じがあったのだけれど。途中までの、売店でキレるシーンとか怖さを演出していて良かったと思うんだけれどね。あと、今の感覚で観てみると、もっとストリートギャングとウォリアーズの戦いを見せてほしかった。オープニングにしか出てこないギャングもいるし。それに、リプスの面々がなにもしていないのもちょっとどうかと。報告を聞くシーンはあっても具体的に動く様子はないし、この人たちはウォリアーズのリーダーをリンチしたのに、うやむやになってるんだよね。


僕が子供の頃のニューヨークのイメージって、こういう感じだったなぁという懐かしさがあって良かった。逃走劇は、追い掛ける側が部族化していると面白いという発見があって勉強になった。