『クリフハンガー』

テレビで鑑賞。1993年公開の映画。監督はレニー・ハーリン、主演はシルヴェスター・スタローン


【ストーリー】
山岳救助隊が国際的な犯罪者たちと戦う。
第一幕:オープニング〜飛行機が墜落するまで
第二幕:ゲイブが山に行く〜トラヴァースの死まで
第三幕:クウェイルンからの無線〜ラストまで


【見所】
ロッククライミング描写は良かった。ただ、90年代のアクション映画としてはもっさり。


【感想】
シルヴェスター・スタローンの映画としては、90年代に唯一ヒットした作品じゃないかと思うけれど、それはロッキー山脈で敵と戦うという大自然とスタローンの筋肉美をとことん追求した映画だったから……だと思う。でも、同年公開の作品『逃亡者』や、翌年公開された映画『スピード』と比較すると、いかにももっさりした映画になっている。翌年公開の『パルプ・フィクション』あたりと比較すると、同年代の映画とはとても思えない。


この映画は90年代の映画というよりも、80年代のアクション映画に終止符を打った作品だと思う。マシンガン、決めゼリフ、爆発……メソッドとしてはほとんど目新しいところはない。レニー・ハーリン監督はアクション映画の監督なのに、アクションを撮影するのが苦手、という致命的な欠点があって、それをロッククライミング描写でカバーしているのは工夫としては良いと思った。


物語的には敵がとにかくバカなところが気になった。なんというか、冷酷だしやることはやっているような気がするけれども、もっと後先考えて行動しないと骨折りのくたびれ儲けになるよね、という感じ。殺すべきときに殺さなかったり、悪役の一人がとにかく足でまといだったり。ジョン・リスゴーはそんなに悪くはなかったけれど、これはシナリオが悪いよね。


あと、シナリオに関して言えば、オープニングの宙づりシーンがその後の展開にあまり有効的に使われていないのは気になった。手を掴んで引き上げるというシーンは何箇所かあるのに、あんまりドラマチックじゃないのよねぇ。アッサリ引き上げる感じ。雄大大自然という音楽が何度も流れるのも気になった。空撮シーンになると流れるというのは、あまり上手ではないと思う。二人組の若者もなんのための役なのかが分からないし。


個人的には80年代調の、ちょっと牧歌的なアクション映画を観るくらいな感じでいいと思う。