『朝まで生テレビ』

土曜日の1:30〜4:30まであった『朝まで生テレビ』を見た。物凄く面白い番組だったけれど、高いテンションで書くと取り留めもなくなるので、ちょっと日を置いてみました。
個人的な感想は、ツイッターやブログで見る感想とほとんど同じ。橋下強すぎ、反橋下派どうでもよすぎ。

【橋下市長の戦略】
「橋下市長は口が上手い」のは当然なのだけれど、そのバックボーンにあるのは『大阪都構想』という揺るぎのない戦略があるから。『大阪都構想』については、もう何度も語っているので、フリップの出し方から言葉の端々まで非常に手慣れたものがあるし、具体論から組み立てていく問題点には説得力がある。橋下市長については批判的な人がいたとしても、彼が主張する大阪都構想』を正面から反対できる人間は、露骨な利権受益者ぐらいなものだろう。なので、橋下市長にとっては利益受益者ではない反橋下派に対しては、政策論をとうとうと語るだけで、(頭の悪い)反対派を(彼らは頭が悪いから)説得はできないけれども、大阪に少なからず関心を持っている視聴者を説得することはできる。しかも、今回の橋本市長は『ハシズムを許すな!』にかなりの付箋を張って、かなり反対論者の理屈を把握した上で議論に臨んでいた。

『朝生』で橋下市長が組み立てている戦略ロジックは、「批判するのはいいけれど対案を出せ→(出るわけがない)→ただ批判している学者は体制を無自覚に擁護している」というもの。これは時代の閉塞感の後押しと、橋下市長の弁護士時代に培った弁論術で、相当に強力なロジックになっている。

【反橋下派の戦略】
反橋下派にとって苦しいのは、橋下の政策が(市長という立場もあって)かなりボトムのほうに目を向けていたリベラル的なものなので、政策論での反対をするのは難しいところ。朝生の前の報道ステーション山口二郎が政策論で勝負を挑んで大敗北したのは記憶に新しいし、反対派もこの路線で戦うのは無理だと思っているようだ。そういうわけで、反橋下派の戦略としては「橋下市長の邪悪な裏の思惑を燻り出す」というもので、香山、山下議員、薬師院の三人はその方向で議論していた。が、その戦略は放送開始1時間くらいで崩壊してしまう。というのも、三者の発言がどうでもいい揚げ足とりに終始していて、橋下市長にとってはこれを放置していても相手の株が下がるだけと見透かしてしまったからだ。橋下市長が議論の方向性を建設的な方向に変えようとしたのは、まったくの老婆心からのように見えた。

反橋下派の中では自民党の柳本市議が池田氏、吉富氏の三人が是々非々の議論をしていたように思う。教育の問題については視聴者的な視線からの疑問に、橋下市長が回答という形でかなり良かった。柳本氏は右に山下議員、左に薬師院でストレスがマッハで上昇しただろうなぁ。

【リベラルは橋下市長に反論しづらい】
大阪都構想』が「巨大な官僚組織を打ち破って、市民目線の行政を実現する」という以上、リベラルな学者やコメンテーターや専門家が反論するのはかなり難しい。しかも、橋下市長のロジックに絡め取られてしまうと、リベラルな立場でありながら体制擁護してしまうことになるので、よほど現場に即した反論か、超的確な揚げ足とりに走らないと有効なものにはならないだろうと思う。ただ、ディベートの能力が橋下市長はずば抜けているので、生半可なロジックでは対応しきれない。本当は平松前市長が現場に即した反論をしうれる唯一の存在だったが、選挙前に逃亡してしまったから。

【首長は2期制がいいね】
朝生を見たときの印象としては、行政組織の首長は2期がいいということ。橋下市長は府知事で1期目に問題点の洗い出しをして、2期目に問題点の解決に動いている。橋下市長の市政が成功して、じっくり問題を出して、それを解決できるようになればいいなぁと思う。