『狼たちの処刑台』

狼たちの処刑台 [DVD]

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『イギリスのジジイを怒らすな』
というのがテーマの作品です。最悪の場合、北アイルランド仕込みの拷問術で嬲り殺しにされます。

ダークナイト』のアルフレッド役として最近では有名なマイケル・ケインが主役を張った作品です。元海兵隊で現在は慎ましい生活をしている老人が、妻の死と親友の死、そして正当防衛にせよ偶然殺人を犯してしまったことによって、自らの心に眠る獣性を目覚めさせてしまうという作品。

【見所】
ザ・チンピラ。
ロンドンの暴動が記憶に新しいところですが、日本では「格差が……」という論調が多かったのですが、この映画を観た後では「こいつらただの暴れん坊やがな」と見方が変わると思います。もちろん、イギリスの社会が荒れる若者たちを生み出しているのですが、それよりも何よりも邪悪すぎ。最初は「まあ、こいつらだって社会の歪みが生んだ可哀想な奴らなんだ」と思ったりしたのですが、映画が進むにつれて「こいつらぶっ殺せ!」という気持ちになること必至の勢いです。

ザ・老兵。
ただの老兵ではなく、IRA相手に拷問とか殺人とかしまくった元海兵隊です。社会人として立派で、結婚後は鎖に繋がれた状態になっていますが、本当は人の死や痛がる姿なんか何でもない「本物」の姿に背筋が凍る。見所は、チンピラの拷問からはじまる地下道での人間釣り。たぶん、テロリスト相手にも同じことをしてたんだろうなぁと覗わせる手際の良さが光ります。

静かに展開していく映画なので、派手なアクションを期待すると肩すかしになるかも。
静かな展開はマイケル・ケインの繋がれた鎖を一つ一つ解き放つ過程を見せているんですよね。監督はこれが長編初監督らしく、そうは思えない見所満載の渋い映画です。麻薬ディーラーの家の異界っぷりとか、そこに足を踏み入れてもあまり何も感じない主人公の肝の据わりようとか、見ていてゾクゾクしてきますね。女警部補の泣きそうな顔とか。オチはもうちょっと上手い着地法があったような気がするけれどなぁということで、4点! オススメです!